2014年1月20日月曜日

ロシア語試訳2:ソログープ「ひ弱な少年」


 二回目の今回は、「ひ弱な少年」を。
 既存の翻訳では「かよわい子供」や「弱々しい子供」となっている。

 作品の出典は以下:
<<Собрание сочинений в восьми томах ТОМ 2. МЕЛКИЙ БЕС>>収録、<<Заклятие стен>>Сказочки項目内<<Нежный мальчик>>
 (БИБЛИОТЕКА РУССКОЙ КЛАССИКИサイト内、Федор Кузьмич Сологубのページより)





ひ弱な少年


 ひ弱な少年がいました。
 ハエにたかられないようにと、少年が生まれた時に鐘型のガラスが被せられました。
 つまり少年はずっと、ガラスの容器の中で暮らして来たのでした。
 少年は近くで白樺が揺れるのを見ました。
 それが風のせいだとは少年は知りませんでした。か弱い彼は、風を知らなかったのです。
 彼は白樺に言いました。「馬鹿な白樺め。揺れるんじゃない。折れてしまうぞ」。
 風が止んだので、白樺は静かになりました。か弱い少年は喜んで言いました。
「言う通りにするなんて、こいつは賢い木だな」 










Нежный мальчик


Жил нежный мальчик.
На него с самого начала надели стеклянный колокол, чтоб мухи его не обижали.
Так все и жил мальчик в колоколе.
Вот видит мальчик, — береза шатается. А он не знал, что это от ветра, — не знал ветра нежный мальчик.
Он и сказал березе:
— Глупая береза, не шатайся, сломаешься.
Перестал дуть ветер, и береза не шаталась. А нежный мальчик обрадовался, и сказал:
— Вот и умница, что послушалась.


出典:
<<Собрание сочинений в восьми томах ТОМ 2. МЕЛКИЙ БЕС>>収録、<<Заклятие стен>>Сказочки項目内<<Нежный мальчик>>
 (БИБЛИОТЕКА РУССКОЙ КЛАССИКИサイト内、Федор Кузьмич Сологубのページより)




 ちょっと画像がビビットすぎたかもしれない。
 しかしソログープさん、白樺好きだな。よく出てくるよ、白樺。


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