スラヴ世界のイースター・エッグ―ピーサンキからインペリアル・エッグまで (ユーラシア選書) | |
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春分の日……は、もう終わってしまったが、今年の東方正教会のイースターはまだだから、セーフということで一つ。
ちなみに本書によると、2016年の東方正教会のイースターは5月1日とのこと。今年は特に西方正教会との差が激しい。
本書で扱うのは、サブタイトルの通りにインペリアル・エッグと、ピーサンキ。
家庭で手作りされて来たピーサンキと、豪華を極めたインペリアル・エッグ(皇帝の卵)を並べるのは違和感があると著者自身も言っているが、しかし、「卵」に春とキリストの復活を見出すその視線だけは両者共通である。
本書の特色は、ピーサンキの作り方を詳しく、日本の家庭でも作れるように解説していることと、またイースター・エッグの歴史的な背景を分かりやすく紹介しているところにある。
加えてその紹介はかなりマイルドで、誰にとっても角は立たなさそうだ。逆に言えば、私のようなキツイ人間には、やや不満が残るのだが。
今まで時折見かける卵に命の元を見る図柄を不思議に思っていたのだが、その大元を今回知ることが出来て、なんだか妙にスッキリ。
マースレニッツアの語源が「バター週間(バター食べ収め祭)」にあるってのには、目から鱗が。スィールニツァ(チーズ週間)と呼ぶ地域もあるそうな。
精進期間に入る前の、乳製品食べ収め週間という意味では同じだけど、マースレニッツアと呼ぶ地域はバター好きで、スィールニツァの地域はチーズ好きなのだろうか。
加えて言うと、インペリアル・エッグについても一つ一つ細かく紹介してくれているので、興味のある人……ならもう知ってる情報が多いんじゃないかと思うが、けれど入門としては結構良い。
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