試訳の裏側:ソログープ「お前は誰だ? 4/5」

2014年09月13日更新

 前回の続き。第三章。
 今回も一章と比べると格段に短い。


出典は以下: «Собрание сочинений в восьми томах Том 6. Заклинательница змей»収録、«Неутолимое»項目内«Мечта на камнях» БИБЛИОТЕКА РУССКОЙ КЛАССИКИサイト内、Федор Кузьмич Сологубのページより


今回も、
  『岩波ロシア語辞典』(岩波書店) 
  『NHK新ロシア語入門』(日本放送出版協会) にお世話になりました。

 加えて既存の日本語訳
  「お前は誰だ?」 前田晁・訳(「早稲田文學 第百九十四號」収録)も参考にさせていただきました。



 例によってツッコミ等は歓迎しております。
 以下は、いつもの七転八倒な和訳への道。


 

注:色つき文字部分は、私(春色)の独り言。
太字は原文、もしくは最終的な日本語訳



Гришка прислушался, — из кухни раздавался сиплый голос матери:

— Гриша, Гришка, куда ты, пострел, запропастился?

メモ
прислушаться(←прислушался:過去形、男性形):耳を澄ます、聞き耳を立てる(完了体)
 →прислушиваться(不完了体)
раздаваться(←раздавался:過去形、男性形):(音・声が)聞こえる、響く、響いてくる(不完了体)
 →раздаться(完了体)
сиплый:(音・声が)しゃがれた、かすれた、ハスキーな
пострел:(口)乱暴者、暴れん坊、向こう見ず
запропаститься(←запропастился:過去形、男性形):(俗)無くなる、消え失せる(完了体)

 「グリーシュカは耳を澄ませた―台所から聞こえてきたしわがれた母の声が。
『グリーシャ、グリーシュカ、どこにお前、暴れん坊め、は消え失せたのか?』」
 いきなり現世に帰ったぞ。
 グリーシュカが耳を澄ませると、――台所から聞こえていたのは、しわがれた母親の声だった。
『グリーシャ、グリーシュカ、この暴れん坊め、どこに消え失せちまったんだ?』



Гришка поспешно вскочил с подоконника и бросился в кухню. Он знал, что если мать зовет, нельзя мешкать, — достанется. Теперь тем более, что мать всегда бывает сердита, когда готовит обед, и особенно когда на кухне бывает чадно и угарно. Померкли светлые покои принцессы Турандины. Навстречу Гришке плыл кухонный синий дым. Гришкина голова опять сразу заболела и закружилась, и опять ему стало томно и тошно.

メモ
поспешно:大急ぎで、性急に
вскочить(←вскочил:過去形、男性形):飛び乗る、すばやく立ち上がる、急に起き上がる(完了体)
 →вскакивать(不完了体)
броситься(←бросился:過去形、男性形):飛び降りる、飛び込む、身を投げる(完了体)
 →бросаться(不完了体)
мешкать:(口)ぐずぐずする、手間取る、(事を)引き伸ばす
 →замешкать(完了体)
достанется:[無人動](口)叱られる、罰をくう、酷い目に遭う(完了体)
 →доставатся(不完了体)
тем более:まして、いわんや
бывать(←бывает:現在形、三人称単数形):起こる、生じる、時々ある(不完了体)
сердитый(←сердита:短尾形、女性形):怒りっぽい、短気な
готовить(←готовит:現在形、三人称単数形):(使えるように)用意する、整える、しつらえる(不完了体)
обед:食事、ディナー、昼食
особенно:特別に、なによりもまず、なにもににも増して、とりわけ
чадно:[無人述]むっとするような煙が篭っている
угарно:[無人述]一酸化炭素が充満している
померкнуть(←померкли:過去形、複数形):暗くなる、(火・灯火などが)消える、(目・光るものが)輝きを失う、霞む(不完了体)
покой(←покои:複数形):静寂、静謐、(廃)部屋、(ふつう複)居室
навстречу:向かって
плыть(←плыл:過去形、男性形):(人・動物などが)泳いでいる、(音・匂いなどが)伝わる、漂う(不完了体・定)
сразу:一気に、同時に、直ちに、即座に
заболеть(←заболела:過去形、女性形)[始発](完了体)
 →болеть:痛む、痛い(不完了体)
закружиться(←закружилась:過去形、女性形):[始発](完了体)
 →кружиться:(ぐるぐる)回る、旋回する(不完了体)
томно:[無人述](廃)(俗)(精神的・肉体的に)苦しい、つらい、切ない
тошно:[無人述]胸がむかつく、吐き気がする

 「グリーシュカは大急ぎで窓台から立ち上がり、台所へと飛び込んだ。彼は知っていた、もしも母が呼んだのならば、ぐずぐずしていてはいけない―叱られるのだ。ましてや今、母はいつも短気を起こした、食事を用意している時には、とりわけ台所にむっとするような煙が充満して一酸化炭素が充満している時には。光に満ちたツランディナ王女の居室が霞んでいった。グリーシュカに向かって漂ってきたのは台所の青い煙。グリーシュカの頭は再び直ちに痛み出しぐるぐると回り始め、再び彼は苦しく吐き気がした」
 一酸化炭素が充満したら死にますやん……と、辞書を引きながら突っ込んでしまった。息苦しい、ってことなんだろうか。
 グリーシュカは慌てて窓台から立ち上がり、台所へと飛び込んだ。彼は知っていた。母親に呼ばれたなら、ぐずぐずしてはいられない。でないと叱られるのだ。ましてや今、食事の用意の時間、とりわけ台所が煙たく息苦しくなる時には、母はいつだって癇癪を起こすのだから。光に満ちたツランディナ王女の部屋が輝きを失いつつあった。グリーシュカに向かって流れてくるのは、台所の青い煙。グリーシュカの頭はすぐに再度痛み始め、またぐるぐると回り始めた。再び彼は苦しくなり、吐き気がした



Мать говорила ему:

— Поворачивайся живо, беги скорее к Мильгану, купи лимонных сухарей полфунта и кекс в шесть гривен. Живо, сейчас подавать чай надо, у барыни — гости, — кого-то черт принес невовремя.

メモ
поворачиваться(←поворачивайся:命令形):(口)てきぱきやる、片付ける(不完了体)
живо:(口)すばやく、さっさと、てきぱきと
бежать(←беги:命令形):(人・動物が)(一定の時に・一定の方向に)走る(不完了体・定)
скоро(←скорее:比較級):速く、素早く
купить(←купи:命令形):買う(完了体)
 →покупить(不完了体)
лимонный(←лимонных:複数形、生格):レモンの、レモンで作った
сухарь(←сухарей:複数形、生格):乾パン、ラスク
полфунта:半フント ※1フント=409.512g
кекс:フルーツケーキ、バウンドケーキ、カップケーキなどの類
гривна(←гривен:複数形、生格):(現在では6-9の後で複数斜格のみ使用)(廃)(俗)10カペイカ
подавать:(食卓に供せるように)調理する、手渡す、(テーブルに飲料を)出す(完了体)
 →подать(不完了体)
чёрт принёс:(俗)(ふつう好ましくない人が)間の悪い時に(思いがけず)やって来た
невовремя
 →не
 →вовремя:時間通りに、遅れずに、折りよく

 「母は彼に言った。
 『さっさとてきぱきとやるんだよ、ミリガンのところまで速く走って、レモンのラスクを半フントとケーキを六十カペイカ分買ってくるんだ。速く、今お茶を出さなくちゃならないんだよ、奥様の―客たち、誰かが間の悪い時に時間外れにやって来たんだ』」
 ロシア語におけるダッシュ(まぁダッシュって言わないのかもしれないけど)の用法が割りとずっと謎。
 母は彼にこう言った。
 『とっととやるんだよ。ミリガンのところまで急いで走って行って、レモンのラスクを半フントとケーキを六十カペイカ分買っておいで。早く。今お茶を出さなくちゃならないんだよ、奥様のお客様に。――誰だか知らないけれど、時間外れの間の悪い時に来るんだから』



Гришка сунулся было в коридор, достать чулки и башмаки, но Аннушка сердито крикнула:

— Ну чего еще там! Сапоги трепать! Да и некогда, беги так, — чтобы одна нога здесь, другая там.

メモ
сунуться(←сунулся:過去形、男性形):(口)(あわててよく考えずに)突進する、入り込む、(口)くちばしを入れる、でしゃばる(完了体)
 →соваться(不完了体)
коридор:廊下
достать:(離れたところにある物を)取る、(中にあるものを)取り出す(完了体)
 →доставать(不完了体)
чулк(←чулки:複数形):(一足は複数形で)長靴下、ストッキング
башмак(←башмаки:複数形):(主として婦人・子供用の踝の上まである)短靴、ショートブーツ
сердито:腹を立てて、非常に激しく、猛烈に
крикнуть(←крикнула:過去形、女性形):怒鳴りつける、叱り付ける、ガミガミ言う(完了体・一回)
 →кричать(不完了体)
что[чего] там[тут]!:気にすることはない、心配することはない、無意味だ、無駄だ
сапог(←сапоги:複数形):(一足は複数形で)長靴、ブーツ
трепать:引っ張る、はためかせる(不完了体)
некогда:[無人述]ひまがない
одна нога здесь, (а) другая там:(俗)大急ぎで(行ってくる)

 「グリーシュカは反射的に廊下に行こうとした、靴下と短靴を取るために、が、しかしアヌーシュカは腹を立てて怒鳴った。
 『もうそんな無駄なことを! 長靴を引っ張るなんて! そうだ暇が無いんだ、こう走れ―大急ぎで』」
 最後の部分の表現が面白い。
 靴下と短靴を取るために、グリーシュカは反射的に廊下へ向かったが、しかしアヌーシュカはそれに腹を立てて怒鳴った。
 『全く無駄なことを! 靴を引っ張るなんて! 時間がないんだ、走るんだ――大急ぎでね!』



Гришка взял деньги, серебряный рубль, зажал его в горячей руке, надел шапку и побежал вниз по лестнице. Бежал и думал: «Кто же я? И как же это я забыл свое настоящее имя?»

メモ
взять(←взял:過去形、男性形):取る、掴む(完了体)
 →брать(不完了体)
деньги(複数形)金、貨幣、通貨
серебряный:銀の、銀製の、銀メッキの
зажать(←зажал:過去形、男性形):締め付ける、押し付ける、握り締める、挟む(完了体)
 →зажимать(不完了体)
горячий(←горячей:女性形、前置格):熱い、高温の
надеть(←надел:過去形、男性形):包むように付ける、(衣服を)着る、(履物を)履く
шапка(←шапку:対格):(つばのない、ふつうは温かく柔らかい)帽子
побежать(←побежал:過去形、男性形):走り出す、駆け出す(完了体)
(ну) как же:(疑問文・感嘆文で)(強い当惑・驚きを表して)一体どうして
забыть(←забыл:過去形、男性形):忘れる(完了体)
 →забывать(不完了体)

 「グリーシュカは貨幣、銀ルーブルを掴むと、それを熱い手で握り締め、帽子を被り、走り出した階段の下へと。走りながら考えた。『僕は一体誰なんだ? どうして僕は自分の本当の名前を忘れてしまったのだろう?』」
 靴を取るのは駄目でも、帽子を被るのは良いのか。よく分からない。廊下まで出るのが駄目なのか?
 グリーシュカはコイン、銀のルーブル、を掴むとそれを熱い手で握り締めた。帽子を被り、階段を駆け下りる。走りながら考えるのは、『僕は一体誰なのだろう? どうして僕は自分の本当の名前を忘れ去ってしまったのだろう?』ということだった



Надобно было бежать далеко, за несколько улиц, потому что сухари и кекс велено было покупать не в той булочной, которая была напротив, в том же переулке, а непременно в другой, далекой. Барыня думала, что в этой булочной, которая близко, все скверно и все засижено мухами, а вот в той, далекой, которую она сама выбрала, все очень хорошо, чисто и необычайно вкусно.

メモ
надобно:(廃)(俗)=надо[無人述]…する必要がある、…せねばならない
далеко:遠い、遠くへ
несколько:いくつかの、若干の
улица(←улиц:複数形、生格):通り、街路
велено:[無人述](廃)命ぜられている、許されている
булочная(←булочной:女性形、前置格):パン屋(店)
напротив:…に向かって、…に面して、向かいに、反対側に
переулк(←переулке:前置格):横町、小路
непременно:きっと、必ず、間違いなく
далёкой(←далёкой:女性形、前置格):遠い
близко:近い、近くで
скверно:悪く、忌まわしく、まずく
засиженный(←засижено:短尾形、中性形):能動形容分詞過去
 →засидеть:(口)(昆虫・鳥などが)糞で汚す(完了体)
  →засиживать(不完了体)
муха(←мухами:複数形、造格):ハエ
выбрать(←выбрала:過去形、女性形):選ぶ、選び取る、選択する(完了体)
 →выбирать(不完了体)
чисто:きれいに、清潔に、潔白に
необычайно:並外れの、異例な、異常に
вкусно:美味しい、満足げに

 「遠く、いくつかの通りの向こうまで走らなければならなかった、何故ならばラスクとケーキは買うことを命じられていたからだ、このパン屋、この横町の反対側にある、ではなく間違いなく別の遠くのパン屋で。奥様は考えていた、このパン屋、近くの、は全く不味く、全くハエの糞で汚されているが、一方でここのパン屋、遠くの、彼女が自分で選んだ、は全く大いに素晴らしく、清潔で並外れに美味しいと」
 この文章分かりにくいよ。
 いくつもの通りの向こうまで、距離を走らなければならなかった。それと言うのも、この横町の反対側にある近いパン屋ではなく、別の遠くのパン屋でラスクとケーキを買うようにときつく命じられていたからだ。近くのパン屋は酷く不味くてハエの糞だらけだが、彼女が選んだ遠くのパン屋は非常に素晴らしく美味しくて清潔だと、奥様が考えていたからだ


«Кто же я?» — настойчиво думал Гришка.

メモ
настойчиво:根気よく、粘り強く、執拗に

 『僕は一体誰なんだ?』 グリーシュカは執拗に考え続けていた



Мечты о прекрасной Турандине перебивались этим досадным вопросом. Пробегая быстрыми, легкими ногами по жестким тротуарам шумных улиц, встречаясь с чужими, обгоняя чужих, среди этого множества неприятных, грубых людей, куда-то торопящихся, толкающихся, презрительно посматривающих на голубенькую ситцевую Гришкину рубаху и на его коротенькие синие штанишки, Гришка опять чувствовал странность и нелепость того, что он, мечтающий о прекрасных дамах, знающий много милых историй, живет вот именно здесь, в этом сером жестком городе, растет вот именно так, в этой чадной кухне, и все здесь так странно и чуждо ему.

メモ
перебиваться(←перебивались:過去形、複数形):(障害を克服して)越える、渡る、移動する、移る(不完了体)
 →перебраться(完了体)
досадный(←досадным:造格):くやしい、忌々しい、腹の立つ
вопрос(←вопросом:造格):問い、質問、疑問
пробегая:副分詞
 →пробегать:走って通り抜ける、走り過ぎる(不完了体)
  →пробежать(完了体)
быстрый(←быстрыми:複数形、造格):速い、迅速な
легкий(←легкими:複数形、造格):軽い
тротуар(←тротуарам:複数形、造格):歩道、人道
шумный(←шумных:複数形、生格):騒音を立てる、騒々しい
улица(←улиц:複数形、生格):通り、街路、[集合](口)町内の人々
встречаясь:副分詞
 →встречаться:出会う、出くわす、ぶつかる、会う(不完了体)
  →встретиться(完了体)
чужой(←чужими:複数形、造格):他人の、自分のではない、親しみの無い、余所の
обгоняя:副分詞
 →обгонять:追い越す、追い抜く(不完了体)
  →обгнать(完了体)
среди:…の中央に、…の真ん中に、…の中を
множество(←множества:生格):大量、多数
неприятный(←неприятных:複数形、生格):不快な、不愉快な、嫌な
грубый(←грубых:複数形、生格):仕上げの雑な、荒削りの、優美さを欠く
куда-то:(不明の・証明できない)どこかへ、ある所へ
торопящийся(←торопящихся:複数形、生格):能動形容分詞現在
 →торопиться:急ぐ、急いでやる、急いで行く(不完了体)
  →поторопиться(完了体)
толкающийся(←толкающихся:複数形、生格):能動形容分詞現在
 →толкаться:(相手を)押す、(互いに)押し合う、もみ合う、突き合う
презрительно:軽蔑的に、蔑むように
посматривающий(←посматривающих:複数形、生格):能動形容分詞現在
 →посматривать:(時々)見る(不完了体)
голубенький(←голубенькую:女性形、対格):[指小・表愛]
 →голубой:水色の、空色の
ситцевый(←ситцевую:女性形、対格):更紗の
коротенький(←коротенькие:複数形):[指小・表愛]
 →короткий:短い
штанишки(複数形)[指小・表愛]
 →штаны:(口)ズボン
чувствовать(←чувствовал:過去形、男性形):(生理的・心理的に)感じる、覚える(不完了体)
 →почувствовать(完了体)
странность:奇妙さ、不思議さ、奇妙なこと、不思議なこと
нелепость:常識外れ、ナンセンス、馬鹿げていること
история(←историй:複数形、生格):歴史、物語、話、事件、出来事
именно:まさに、他ならぬ、ちょうど
расти(←растёт:現在形、三人称単数形):成長する、育つ(不完了体)
чадный(←чадной:女性形、生格):むっとする煙を出す、むっとする煙のこもった
странно:[無人述]不思議だ、変だ、おかしい
чуждый(←чуждо:短尾形、中性形):異質な、無関係な、無縁な、相応しくない

 「とても美しいツランディナに関する空想が、この忌まわしい問いかけによって渡って来た。敏捷な軽い足で騒がしい通りのゴツゴツした歩道を走りぬけながら、見ず知らずの他人たちと出くわしながら、見ず知らずの他人たちを追い抜きながら、この大量の不愉快な人たち、どこかへと急ぎ揉み合い、グリーシュカの水色の更紗のシャツと短い青色のズボンとを軽蔑的にちらりと見やる、の中を、グリーシュカは再びこの不思議で常識はずれだと感じていた、彼、とても美しい令嬢たちのことを空想し、多くの愛すべき物語を知っている、が、ほかならぬここ、この灰色でごわついた町、で暮らし、ほかならぬここ、このむっとする煙の篭った台所で育っている、全くここは彼にとってとても不思議で無関係だ、と」
 またやっかいな文章を……。ロシア語の語順そのままじゃあ日本語にはならんのじゃ。
 この忌まわしい問い掛けによって、美しきツランディナの空想が現れた。軽快な足で騒がしい通りのゴツゴツした歩道を走りぬけ、見ず知らずの他人と出くわしながら、どこかへと急いでぶつかり合い、グリーシュカの水色の更紗のシャツと短い青色のズボンとを軽蔑的にちらりと見やるこの大量の不愉快な人たちを追い抜きながら、グリーシュカは再び不思議で奇妙なものを感じていた。それは、とても美しい令嬢のことを空想し、多くの愛すべき物語を知っている自分が、他ならぬこの地、灰色でざらざらした町で暮らし、他ならぬここ、むっとする煙が充満している台所で育っているということだった。彼にとってこの場所はとても奇妙で、自分とは縁遠いものだった
 


Гришка вспомнил, как несколько дней тому назад живущий в том же доме, в двадцать четвертом номере, капитанский сын Володя зазвал его посидеть, поболтать на лестнице у их квартиры во втором этаже противоположного флигеля. Володя был одних лет с Гришею.

メモ
вспомнить(←вспомнил:過去形、男性形):思い出す(完了体)
 →вспоминать(不完了体)
несколько:いくつかの、若干の
назад:後ろへ、逆方向へ、(時間を表す語の対格の後に置いて)…前に
двадцать:20
четвертом:第4の
капитанский:大尉の、船長の、艦長の
зазвать(←зазвал:過去形、男性形):しつこく誘う、しつこく招く(完了体)
 →зазывать(不完了体)
посидеть:(しばらく)座っている、止まっている(完了体)
поболтать:(口)(しばらく)おしゃべりする、無駄話をする(完了体)
квартира(←квартиры:生格):(一般に)住まい、住居、住宅
второй(←втором:前置格):第二の、二番目の
этаж(←этаже:前置格):階
противоположный(←противоположного:生格):反対側にある、向かい合った、相反する、反対の
флигель(←флигеля:生格):(家屋の)翼、袖、離れ

 最後のодних летの意味が分からない。一歳離れているのかと思ったが、既存の翻訳では「同じ歳」となっているので、そういうことにしておく。
 尚、最初のнесколько дней тому назад живущийもよく分からない。
(追記:несколькоの意味を勘違いしていたので書き直した)。
 「グリーシュカはまさにこの家で生きてきた数日のことを思い出した、二十四号室の大尉の息子ヴォロージャは彼をしつこく誘っていた、しばらく座っておしゃべりしようと、反対側の翼の二階の彼らの部屋近くの階段で。ヴォロージャはグリーシュカと同じ歳だった」
 グリーシュカはこの家で暮らしたここ数日のことを思い出した。二十四号室の大尉の息子ヴォロージャは、反対側の棟の二階の彼らの部屋近くの階段に座って少しおしゃべりしようと、しつこく彼を誘っていた。ヴォロージャはグリーシュカと同じ歳だった



Он был мальчик живой и ласковый, и весело разговаривали мальчики, сидя на подоконнике. Вдруг открылась дверь, и Володина мать, кислая капитанша, показалась на пороге. Щурясь, оглядела она с головы до ног вдруг струсившего Гришку. Протянула презрительно:

メモ
живой:(人などが)元気の良い、活発な、活動的な
ласковый:優しい、愛想の良い
весело:楽しく、愉快に、陽気に
разговаривать(←разговаривали:過去形、複数形):話をする、会話する、語り合う(不完了体)
кислый(←кислая:女性形):酸っぱい、(口)不満そうな、不機嫌な、塞いだ
капитанша
 →капитан:(陸軍の)大尉、(海軍の)佐官
показаться(←показалась:過去形、女性形):姿を現す、現れる、顔を出す、やってくる(完了体)
 →показываться(不完了体)
порог(←пороге:前置格):敷居、入り口、戸口
щурясь:副分詞
 →щуриться:目を細める(不完了体)
  →сощуриться(完了体)
оглядеть(←оглядела:過去形、女性形):見回す、眺め回す、じろじろ見る(完了体)
 →оглядывать(不完了体)
струсивший(←струсившего:生格):能動形容分詞過去
 →струсить:怖気づく、びくびくする(完了体)
протянуть(←протянула:過去形、女性形):(縄などを)張る、(音を)長く伸ばす、(話すときに)音を長く引っ張る、ゆっくりと引き伸ばすように言う(完了体)
 →протягивать(不完了体)

 「彼は元気で愛想の良い少年だった、楽しく少年たちは語り合った、窓台に座りながら。突然ドアが開き、ヴォロージャの母親、不機嫌な大尉の妻が戸口から顔を出した。目を細めながら彼女は見た、頭から足まで、突然怖気づいたグリーシュカの。蔑んでゆっくりと引き伸ばして言った」
 グリーシュカの空想が、空想の主であるグリーシュカに対して優しくないのは、グリーシュカを取り巻く世界が常に彼に対して優しくないからなのかもしれない。
 彼は元気な愛想の良い少年だった。窓台に座って少年たちは楽しく話し合った。突然ドアが開き、ヴォロージャの母親である不機嫌な大尉夫人が戸口から顔をだした。突然のことに怖気づいたグリーシュカを、目を細めて頭の先から足の先まで見ると、蔑んでわざとゆっくりと言った



— Это что такое, Володя? Что тебе за компания этот босоногий мальчишка? Отправляйся в комнаты и вперед не смей с ним знаться.

メモ
что такое?:(口)何だ、何だって(驚き・当惑・不満をもって問い返す)
за:(чтоと共に)いかなる、どんな
компания:仲間、一行、グループ、連中
босоногий:裸足の、素足の
мальчишка:(口)男の子、少年
отправляться(←отправляйся:命令形):出かける、赴く、行く(不完了体)
 →отправиться(完了体)
вперёд:前へ、先へ、(口)今後、以後
не смей(те):(強い禁止の表現として)…してはならない
знаться:(口)…と交際する、…と付き合う、…を体験する(不完了体)

 「『これは何なの、ヴォロージャ? お前のどんなお仲間なの、この裸足の少年は? 部屋に行ってなさい、今後は彼と付き合うのは禁止です』」
 『一体何事なの、ヴォロージャ? この裸足の少年はお前のお仲間だっていうの? 部屋に行きなさい。今後彼とのお付き合いは禁止です』



Володя покраснел, заговорил было что-то, — но Гришка уже побежал к себе, в кухню.

メモ
покраснеть(←покраснел:過去形、男性形):赤みを帯びる、赤くなる、(人が)顔を赤らめる(完了体)
 →краснеть(不完了体)
заговорить(←заговорил:過去形、男性形):[始発](完了体)
 → говорить(不完了体)
побежать(←побежал:過去形、男性形): 走り出す、駆け出す、逃げ出す(完了体)
к себе:自分の家[部屋、住所、居所]に行く

 ヴォロージャは赤くなり、何かを言いかけたが、しかしグリーシュカはもう自分の居場所、つまりは台所へと駆け出していた



Теперь, на улице, он думал: «Не может быть, что все это так. Не может быть, что я и в самом деле просто Гришка, кухаркин сын, и что со мною нельзя знаться хорошим мальчикам, капитанским и генеральским сыновьям».

メモ
может быть:[挿入語]恐らく、たぶん、ひょっとすると、(疑問や勧誘の意味を和らげて)なんなら、もし良かったら
в[на] самом деле:実際には、現実には、本当に、実際、嘘でなく
просто:ただ…だけだ、単に…に過ぎない
генеральский(←генеральским:造格): 将軍の、将官の

 「現在、通りの上で、彼は考えた。『そんな訳がない、全くこの通りだなんて。そんなはずがない、僕が嘘ではなくただのグリーシュカ、料理女の息子で、大尉や将軍の息子たちといった良い少年達と付き合ってはいけないだなんて』」。
 色々と危ういなグリーシュカ。
 今、通りで彼は考えた。『ありえない、全くその通りだなんて。そんなはずはない。僕が本当に本当のただのグリーシュカ、料理女の息子で、大尉や将軍の息子達といった上流階級の息子たちと付き合ってはいけないだなんて』



И в булочной, той, далекой, покупая то, что ему велели купить и чего ему не дадут есть, и на обратном пути Гришка то принимался мечтать о прекрасной Турандине, мудрой и жестокой, то опять возвращался к странной действительности, окружавшей его, и думал: «Кто же я? И как же мое настоящее имя?»

メモ
велеть(←велели:過去形、複数形):命じる、言いつける、(неを伴って)許さない(完了体)(不完了体)
дать(←дадут:現在形、三人称単数形): (手から手へ)渡す(完了体)
 →давать(不完了体)
обратный(←обратном:前置格):戻りの、逆行の、(口)(乗り物などが)帰りの、還元の
путь(←пути:生格):道
приниматься(←принимался:過去形、男性形):取りかかる、…し始める、食べ始める(不完了体)
 →приняться(完了体)
мудрый(←мудрой:女性形、生格):賢い、賢明な
жестокий(←жестокой:女性形、生格):残酷な
возвращаться(←возвращался:過去形、男性形):帰る、戻る(不完了体)
 →возвратиться(完了体)
странный(←странной:女性形、生格):奇妙な、不思議な
действительность(←действительности:生格):実在する事柄、事実、現実、実際
окружавший(←окружавшей:女性形、生格):能動形容分詞過去
 →окружать:囲む、取り巻く(不完了体)
  →окружить(完了体)

 「パン屋の中、この、遠くの、買いながら、彼が買えと命じられ、彼に食べるために手渡されることのない、帰りの道でグリーシュカはとても綺麗なツランディナ、賢明で残酷な、の空想をし始め、再び戻った奇妙な現実に、彼を取り巻く、そして考えた。『僕は一体誰なんだ? 僕の本当の名前は何なんだ?』」
 遠くのパン屋で買ったのは、命じられたものであり、食べるために彼に手渡されることのないものを。帰りの道でグリーシュカはとても綺麗なツランディナ、賢明であり残酷でもある、の空想を始め、彼を取り巻く奇妙な現実に立ち戻った。そして考えた。『僕は一体誰なんだ? 僕の本当の名前は何なんだ?』



Мечтал, что он — царский сын, что гордый чертог его предков стоит в стране прекрасной и далекой. Он заболел тяжким недугом давно, и лежит в своей тихой опочивальне, под золотым своим балдахином, на мягкой пуховой постели, покрытый легким атласным покрывалом, и бредит, воображая себя кухаркиным сыном Гришкою. 

メモ
царский:皇帝の、王の
гордый:誇りを持った、自尊心のある、誇り高い
чертог:(廃)大広間、(詩)豪邸、宮殿
предки(←предков:複数形、生格):家系
заболеть(←заболел:過去形、男性形):発病する、病気にかかる(完了体)
 →заболевать(不完了体)
тяжкий(←тяжким:造格):(詩)(文)=тяжёлый:重い、重量感のある、重そうな
недуг(←недугом:造格):(主として重い)病、患い、心痛
тихий(←тихой:女性形、前置格):騒音のない、ひっそりとした、静かな、静寂な
опочивальня(←опочивальне:前置格):(廃)(宮殿・貴族屋敷の)寝間、臥所、寝殿
золотой(←золотым:造格):金の
балдахин(←балдахином:造格):(玉座・寝台・棺などの)天蓋
мягкий(←мягкой:女性形、生格):柔らかい、ふわふわした、ふっくらした
пуховый(←пуховой:女性形、生格):(鳥・獣の)羽毛・和毛入りの、羽毛・和毛製の
постеля(←постели:生格):(廃)=постель:寝具、寝床
лёгкий(←лёгким:造格):軽い
атласный(←атласным:造格):繻子の、繻子製の、滑らかで艶のある
покрывало(←покрывалом:造格):覆い布、ベットカバー
бредить(←бредит:現在形、三人称単数形):譫言を言う、寝言を言う(不完了体)
воображая:副分詞
 →воображать:想像する、空想する(不完了体)
  →вообразить(完了体)

 「空想した、彼は―王の息子、彼の一族の誇り高い豪邸はとても美しく遠い国に立っていた。彼はずっと前に重い病に罹り、自分の静かな寝室で横になっていた、金の自分の天蓋の下、柔らかい羽毛入りの寝床の中、軽い繻子のカバーで覆われた、譫言を言った自分を料理女の息子のグリーシュカだと想像しながら」
 空想の中の彼は、――王の息子だった。彼の一族の誇り高き豪邸は、とても美しい遠い国に立っていた。彼はずっと以前に重い病に罹り、静かな寝室で眠っていた。彼の上には金の天蓋が、その寝床は柔らかい羽毛入りで、軽い繻子のカバーで覆われていた。自分を料理女の息子グリーシュカだと想像して、譫言を言うのだ



Открыты настежь окна его опочивальни, доносится иногда к больному сладкий дух цветущих роз, и голос влюбленного соловья, и плеск жемчужного фонтана. А у изголовья постели сидит его мать, царица, и плачет, и ласкает своего сына. Глаза у царицы ласковы и печальны, и руки ее нежны, потому что она не стряпает, не шьет и не стирает. 

メモ
настежь:すっかり開け放って
доноситься(←доносится:現在形、三人称単数形):(音・匂いが)運ばれる、伝わる(不完了体)
 →донестись(完了体)
больной(←больному:与格):(長尾)病気の、(短尾)病気である
сладкий:甘い、甘口の、(口)親愛な、いとしい、気持ちの良い、甘美な
дух:(肉体に対しての)精神、心、(俗)匂い、香
цветущий(←цветущих:複数形、生格):能動形容分詞現在
 →цвести:(花が)咲く、咲いている(不完了体)
влюблённый(←влюблённого:生格):…に恋した、…に魂を奪われた、(長尾)恋心を表した
соловей(←соловья:生格):ナイチンゲール、夜うぐいす
плеск:水の跳ねる音、水を打つ音
жемчужный(←жемчужного:生格):真珠の、真珠で作った、真珠の付いた
изголовье(←изголовья:生格):枕元、枕辺
царица:女帝、王妃
плакать(←плачет:現在形、三人称単数形):泣く(不完了体)
ласкать(←ласкает:現在形、三人称単数形):…に愛情を示す、可愛がる、愛撫する(不完了体)
ласковый(←ласковы:短尾形、複数形):優しい、愛想の良い、可愛らしい
печальный(←печальны:短尾形、複数形):(人が)悲しみに沈んでいる、悲嘆にくれた、悲しみに満ちた
стряпать(←стряпает:現在形、三人称単数形):(口)調理する、料理する(不完了体)
 →состряпать(完了体)
шить(←шьет:現在形、三人称単数形):縫う、縫い物をする(不完了体)
стирать(←стирает:現在形、三人称単数形):洗濯する(不完了体)
 →выстирать(完了体)

 「彼の寝室の窓はすっかり開け放たれていて、病人のところに時折運ばれて来たのは咲いている薔薇の甘い匂い、恋したナイチンゲールの声、真珠の噴水の水の音。寝床の枕元で彼の母親、王妃、が立ち、泣き、自分の息子に愛撫した。王妃の瞳には優しさと悲しみが、彼女の手は柔らかかった、それと言うのも彼女は料理もしなければ縫い物もせず、洗い物もしないからだ」
 彼の寝室の窓はすっかり開け放たれ、病人の元には時々運ばれて来た、開いた薔薇の甘い匂いと、恋するナイチンゲールの声、真珠の噴水の水の音。寝床の枕元では彼の母親である王妃がおり、泣き、自分の息子を撫でていた。王妃の瞳には優しさと悲しみがあり、彼女の手は柔らかだった。それと言うのも、彼女は料理もしなければ縫い物もせず、洗い物もしないからだ



Если и делает что милая мама-царица, так только вышивает цветным шелком по золотой канве атласную подушку, и из-под ее нежных пальцев выходят алые розы, и белые лилии, и павлины с длинными глазастыми хвостами. И плачет мама-царица о том, что милый сын ее тяжко болен, что он, открывая порою мутные от болезни глаза, говорит непонятное что-то странными словами.

メモ
делать(←делает:現在形、三人称単数形):作る、製造する(不完了体)
 →сделать(完了体)
только:ただ、単に、たった、わずかに
вышивать(←вышивает:現在形、三人称単数形):(模様などを)縫い取りする、刺繍する(不完了体)
 →вышить(完了体)
цветной(←цветным:造格):色の付いた、着色された、色とりどりの、色彩豊かな
шелк(←шелком:造格):繭糸、絹糸
канва(←канве:前置格):(刺繍用)カンバス
атласный(←атласную:女性形、生格):繻子の、繻子製の、滑らかで艶のある
подушка(←подушку:生格): 枕、クッション
выходить(←выходят:現在形、三人称複数形):(口)(病人と)看病で治す、(よく世話をして)育て上げる(完了体)
 →выхаживать(不完了体)
алый(←алые:複数形):真っ赤な、明るい赤色の
павлин(←павлины:複数形):クジャク
длинный(←длинными:複数形、造格):長い
глазастый(←глазастыми:複数形、造格):(俗)(方)(模様などが)目立つ、派手な
хвоста(←хвостами:複数形、造格):尾、尻尾
тяжко:重く、深刻に
порою:時には、時々
мутный(←мутные:複数形):(本来輝いているもの・透明なものが)曇った、くすんだ
болезнь(←болезни:生格):病気
непонятный(←непонятное:中性形):理解出来ない、不可解な、正体不明の、得体が知れない
странный(←странными:複数形、造格):奇妙な、不思議な、普通と違った

 「もしも作るとしたら愛らしい母-王妃が、それはただ刺繍をするだけなのだ、色とりどりの絹糸を使って金のカンバスで繻子のクッションを、そして彼女の柔らかい指が育て上げるのは赤い薔薇と白い百合、そして長い派手な尾を持つクジャク。母-王妃は泣いた、このことに関して、可愛い彼女の息子が重い病気で、その彼は、時々病気のせいで曇った目を開きながら、理解出来ない何かを奇妙な言葉で言うのだ」
 愛らしい母の王妃が何かを作るとしたら、それは色とりどりの絹糸を使い金のカンバスで繻子のクッションを刺繍するだけなのだ。彼女の柔らかい指が育て上げるのは、赤い薔薇と白い百合、そして長い派手な尾を持つクジャクであった。母の王妃は、可愛い息子が重い病気であることに泣いていた。その彼は病気のせいで曇った瞳を時折開き、奇妙な言葉で理解の出来ない何かを呟くのだった



Но настанет день, и очнется сын царицы, и встанет со своего роскошного ложа, вспомнит, кто он и как его зовут в родной стране, и засмеется.

メモ
настать(←настанет:現在形、三人称単数形):(時・季節などが)到来する、訪れる(完了体)
 →наставать(不完了体)
очнуться(←очнется:現在形、三人称単数形):目を覚ます、我に返る、正気付く(完了体)
встать(←встанет:現在形、三人称単数形):起立する、立ち上がる(完了体)
 →вставать(不完了体)
роскошный(←роскошного:生格):豪華な、贅沢な、驕った
ложе(←ложа:生格):横臥するための場所(寝台・ソファーなど)
вспомнить(←вспомнит:現在形、三人称単数形):思い出す、回想する(完了体)
 →вспоминать(不完了体)
родной:血の繋がった、実の、肉親の、親類の、親愛な、愛しい
засмеяться(←засмеется:現在形、三人称単数形):[始発](完了体)
 →смеяться:笑う(不完了体)

 「しかし日が来れば、王妃の息子は目を覚まし、自分の豪華なベッドから立ち上がり、思い出す、彼が何と呼ばれているか、実の国で、そして笑い始めるのだ」
 しかしその日が来れば、王妃の息子は目を覚まして、豪華なベッドから立ち上がり、生まれ故郷での自分の名前を思い出すのだ。そして笑うだろう


 



 長時間キーボードを打っていると小指が痛くなるのは何でだろうと思っていたら、どうやら私の小指は一般よりも短いらしいことが発覚した、そんな今日この頃でした。

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