試訳の裏側:アンドレーエフ「イヴァン・イヴァノヴィッチ 2/7」

2015年09月19日更新


 読めた気がしていたけれど、こうして再度見直すとよく分からないところが結構あったりする二回目。
 元の作品は二章しかないのだが、私の都合で七分割。今回は一章の真ん中1/3をお送りします。

出典は以下:
《ТОМ 3. ПОВЕСТИ, РАССКАЗЫ И ПЬЕСЫ 1908-1910》収録《Повести и рассказы》項目内《Иван Иванович》(БИБЛИОТЕКА РУССКОЙ КЛАССИКИサイト内、Леонид Николаевич Андреевのページより)


今回も、
  『岩波ロシア語辞典』(岩波書店)
  『NHK新ロシア語入門』(日本放送出版協会) にお世話になりました。
加えて『ロシア文学鑑賞ハンドブック群像社)、『現代ロシア話しことば辞典(NISSO)にもお世話になりました。

 例によってツッコミ等は歓迎しております。
 以下は、いつもの七転八倒な和訳への道。


注:色つき文字部分は、私(春色)の独り言。
太字は原文、もしくは最終的な日本語訳。



Околоточный торопливо начал отстегивать кобуру, исподлобья дружелюбно оглядел дружинников и улыбнулся.

メモ
торопливо:急いで、慌てて、せかせかと
отстёгивать:что(ボタン・ホックなどを)外す;(ボタン・ホックなどで留めたものを)外す(不完了体)
 →完了体:отстегнуть
кобура(←кобуру:対格):(ピストルの)ケース、ホルスター
исподлобья:眉を顰めて、上目づかいに、不機嫌に、疑わしげに、うさん臭そうに
дружелюбно:友情の込められた、好意的に、親切に、愛想良く
оглядеть(←оглядел:過去形、男性形):кого-что見回す、眺め回す、じろじろ見る(完了体)
 →完了体・一回: оглянуть
 →不完了体:оглядывать

警察官は慌ててホルスターを外し始め、上目遣いで好意的に義勇団員たちを見回すと微笑んだ
 原文は警察分署表記だけど、ややこしいのでもう警察官で統一しちゃう。


– Сделайте одолжение. Но только разве это оружие? Вот у вас револьверы настоящие, а у нас что, казенные, в двух шагах собаку не застрелишь. Честное слово! Извольте. Да шашку-то, шашку не забудьте, или как она называется – селедку.

メモ
сделать(←сделайте:命令形):する、振る舞う;作る、製造する(完了体)
 →不完了体:делать
одолжение:(廃)貸すこと;厚意、親切
сделай(те) одолжение:(廃)(丁寧な以来)どうかお願い申し上げます;(依頼・提案への丁寧な答え)よろしゅうございます
разве:(疑問文で)(疑念・不信・驚きの意を表して)果たして…か、ほんとうにそうか;(譲歩のニュアンスを含んだ限定を表して)…を除いて、…のほかには、おそらく、ただ…だけ
казённый(←казенные:複数形):オフィシャルな、公的な、政府の
 →казна:(鉄砲の)薬室
в нескольких [в двух, в трёх] шагах:…のすぐ近くに、…から少し離れた所に
застрелить(←застрелишь:現在形、二人称、単数形):кого-что(矢・弾丸で)射殺す、撃ち殺す(完了体)
 →不完了体:застреливать
честный(←честное:中性形):部分的な、一部に関する;個別的な、特殊な;個人の、私的な、私有の
честное слово:[挿入語]本当だ、嘘ではない;約束、誓約
изволить(←извольте:命令形):(丁寧な依頼)…して下さいませ;(強い口調での指示・命令を表現して)…されよ;(口)宜しい、承知した、(相手に何かを勧めて)どうぞ(不完了体)
шашка(←шашку:対格):(反り身の)剣、軍刀
называться(←называется:現在形、三人称、単数形):(不完のみ)кто-что…という名である、…と呼ばれる;…と称する、自称する(不完了体)
 →完了体:назваться
селёдка(←селедку:対格):(俗)(警官の)サーベル

「『宜しゅうございます。しかしこれは本当に武器なのでしょうか? ほら貴方のところには本物のレボルバーが、一方我々の所にあるのは、公的なのが、二歩先の犬を撃ち殺せない。約束だ! 宜しい。そうそう軍刀だ、軍刀を忘れずに、あるいはこう名付けられているのかな――サーベル』」
 ロシアの小説その他に登場する「政府支給品」の立ち位置が未だによく分からない。
 日本だとこの手の愚痴は「上の奴らは現場のことを分かってない(なんでこの機種なんだよ)」的な意味になるけど、ロシアだと命に関わってくるものなの? 品質がクソなの?
 ……「政府支給品」と書いたけどこの作品の時代には政府あるのか? まだ帝政ロシアっぽいよね。濁しておこうっと。
『宜しゅう御座います。けれどこれは本当に武器と呼べるのでしょうか? 貴方のところには本物のレボルバーが、一方我々のところにはお上からの支給品が。近くの犬すら撃ち殺せませんね。全く! 宜しい。そうそう軍刀だ、軍刀も忘れないで下さいね、もしくはこう呼ばれているのかな――サーベルと』


Но шашка была свежеотпущена, остра, и на шутку Ивана Ивановича никто не отозвался. Один из дружинников, молодой, краснощекий, сияющий, схватил шашку и перепоясал ее через плечо.

メモ
свежеотпущена
 → свеже:[造形形]”たった今、最近、新鮮な”の意
 → отпущенный(←отпущена:短尾、女性形):受動形容分詞
  → отпустить:行かせてやる、外出させてやる;緩める(完了体)
   →不完了体:отпускать
острый(←остра:短尾形、女性形):鋭利な、よく切れる;先の尖った、鋭い
отозваться(←отозвался:過去形、男性形):応答する、返答する(完了体)
 →不完了体:отзываться
краснощекий:ほほの赤い
сияющий:(目・瞳が喜びや幸福で)輝いている;喜びに満ちている、(顔・笑いが)喜びに輝いている
схватить(←схватил:過去形、男性形):(素早く)掴む、取る、(口に)咥える;(逃げないように)捕まえる(完了体)
 →不完了体:схватывать
перепоясать(←перепоясал:過去形、男性形):кого-что…に帯を締めさせる、…に剣帯をつけさせる;(口)巻き付ける、縛る、(俗)(鞭などで)打つ(完了体)
 →不完了体:перепоясывать

「しかし軍刀は最新の放出品で、鋭利で、イヴァン・イヴァノヴィッチの冗談に誰も答えなかった。義勇団員の一人は、若く、頬の赤い、喜びに輝いた、軍刀を掴むと肩を通してそれを帯に締めた」
しかし軍刀の方は最新の放出品であり、鋭く尖っていた。イヴァン・イヴァノヴィッチの冗談には誰も答えなかった。義勇団員の一人、若くて頬が赤く喜びに満ちた、が軍刀を掴むと肩から下げた


– Вот так!

– Оставь, Василий! Зачем на глаза лезть!

– Ну вот! Пригодится.

Иван Иванович тоже покачал головой и скромно спросил:

– Можно идти теперь?

メモ
вот так!:(口)話はこれで終わりだ、これ以上話をしても無駄だ
оставить(←оставь:命令形):置いて行く、置き忘れる;取っておく、残しておく;放置する、そのままにする(完了体)
 →不完了体:оставлять
лезть:[定](手で掴まり足を掛けながら)登る、降りる、よじ登る;(口)(物を取るために)手を知れる(不完了体)
лезть в[на] глаза:(俗)目立とうとする、認められようとする;目に付く
ну вот:(口)(結果への到達を示して)さぁ、ほら、ついに
пригодиться(←пригодится:現在形、三人称、単数形):役に立つ、使い物になる、有用である(完了体)
 →不完了体:пригождаться
покачать(←покачал:過去形、男性形):кого-что(しばらく)揺する、揺り動かす;чем(何回か)…を振る(完了体)
скромно:慎ましく、質素に、控えめに

「『どうだ!』
『置いておけ、ヴァシーリー! どうして目立とうとするんだ!』
『いいだろ! 役に立つ』
 イヴァン・イヴァノヴィッチもまた頭を振ると控えめに尋ねた:
『今は行っても良いですか?』」
 イヴァンさんが振ってる頭はどちらへの同調を示しているんだろう。軍刀を手に入れてドヤってる若者なのか、それを非難している方なのか。
『どうだ!』
『置いておけよ、ヴァシーリー! どうして目立とうとするんだ!』
『いいだろ! 役に立つぞ』
 イヴァン・イヴァノヴィッチもまた頭を振ると控えめに尋ねた。
『もう解放していただけますよね?』


– Что?! – удивился тот, суровый. И удивление его было так тяжело, зловеще и страшно, что снова смертельный ужас охватил околоточного, и снег перед его глазами точно почернел, а вокруг черных фигур появились какие-то странные, светлые ореолы. И все закачалось.

メモ
суровый:厳しい、厳しい感じの、厳めしい;つらい、困難な、苦しい;(色・外観が)暗い、陰気な、重苦しい
удивление:驚き、驚愕
тяжело:重く、重々しい、重苦しく、深刻に、厳しく、ひどく、辛く
зловеще:不気味に、凶兆を示して
страшный(←страшно:短尾形、中性形):恐ろしい、恐るべき、怖い、気味の悪い
снова:再び、また、さらに、もう一度;新たに、初めから
смертельный:致命的な、命に関わる、破滅をもたらしうる、破滅のおそれがある
ужас:恐怖、戦慄
охватить(←охватил:過去形、男性形):抱く、抱きかかえる;取り囲む、締め付ける(完了体)
 →不完了体:охватывать
перед:кем-чем…の前に、…の面前に
почернеть(←почернел:過去形、男性形):黒くなる、黒ずむ、暗くなる(完了体)
 →不完了体:чернеть
фигура(←фигур:複数形、生格):(廃)形、形態、形状;(ふつう未知の)人間、人;(人間の)姿、体型、容姿
появиться(←появились:過去形、複数形):(人・物が)姿を現す、現れる、出現する;(表情・思想・感情などが)現れる、生まれる(完了体)
 →不完了体:появляться
странный(←странные:複数形):不思議な、奇妙な、普通と違った
ореол(←ореолы:複数形):光の輪、かさ;(神像・仏像の)後光、円光、光輪;栄光、威信、威光
закачаться(←закачалось:過去形、中性形):[始発]
 →不完了体:качаться:(左右・前後・上下に)揺れる、揺れ動く、揺らぐ;(病気・疲労などで)ふらふらする、ふらつく、よろめく
  →完了体:качнуться

 武器を取り上げられた軍人さんは、その場で解放されなければもれなく殺されるのものらしい。つまりイヴァンさんは只今in命の危機。
 最初の会話文の後のтотの後ろにはこれまたчеловекが省略されている。
「『何だって!?』 驚いた、この険しい人は。そして彼の驚きはかくも重々しく、不気味で恐ろしく、それは再び致命的な恐怖に取り囲ませた警察分署長を、彼の目の前の雪は正確に黒くなり、一方黒い姿たちの周囲には現れた何か不思議な、明るい光輪が。そして全てが揺れ始めた」
『何だと!?』 驚いたのは厳めしい人だった。彼の驚きがかくも重々しく不気味で恐ろしかったために、再び命を失う恐怖が警察官を取り巻いた。彼の目前の雪は実際に黒くなり、一方、黒い姿の周囲には、何とも不思議な明るい光輪が現れた。そして全てが揺れ始めた」 


– Неужели? – нелепо сказал он, и рот его чему-то смеялся, а побелевшие глаза вылезали из-под лба и дико таращились.

_ Не стоит, – сказал первый, тот, что допрашивал Ивана Ивановича. Но суровый настаивал.

メモ
неужели:(疑惑・疑念・驚きを表す)本当に…か、果たして…か;(俗)もちろん、きっと
нелепо:馬鹿げている、常識外れな、無意味に
побелевший(←побелевшие:複数形):能動形容分詞過去
 → побелить:白くする、白く塗る(完了体)
  →不完了体:белить
вылезать(←вылезали:過去形、複数形):這い出る、(口)やっと出る;(口)露出する、はみ出す(不完了体)
 →完了体:вылезти, вылезть
лоб(←лба:生格):額;前面、正面
дико:野生のままで、荒涼として、荒々しく、風変わりに、ひどく;びっくりして、恐る恐る
таращиться(←таращились:過去形、複数形):(目が)大きく開く(不完了体)
не стоит:どういたしまして(お礼の言葉に対する挨拶);そんなことは必要ない、そんなことを気にすることはない
допрашивать(←допрашивал:過去形、男性形):кого-что尋問する;(不完のみ)(口)しつこく尋ねる、問いただす(不完了体)
 →完了体:допро сить
суровый:(性格などが)厳しい、(表情などが)厳しい感じの、いかめしい;つらい、困難な、苦しい
настаивать(←настаивал:過去形、男性形):主張する、固執する、固守する(不完了体)
 →完了体:настоять

「『本当にそうなのかな?』 常識外れに言ったのは彼、彼の口は何かを笑っていたが、白くなった目が露出していた額の下から、荒々しく大きく開いていた。
『そんなことは必要ないよ』 言ったのは最初のこの人だった、イヴァン・イヴァノヴィッチに問いただした。しかし厳しく主張した」。
 解放してもらえないと死ぬというシチュエーションなので、もう直接言わせちゃえ。
『本当に殺すんですか?』 無意味なことを言い出したのはイヴァン・イヴァノヴィッチだった。その口は何かを笑っていたが、額の下から飛び出た白くなった目は、荒々しく見開かれていた。
『その必要はないよ』 言ったのは最初にイヴァン・イヴァノヴィッチを問いただした人であった。しかし厳めしい人が言い張った


_ А по-моему, стоит. Всех их стоит. А если вам уж так его жалко, так давайте я. Ну-ка ты, пойдем, поговорим!

– Не стоит! – поддержали другие. – Ну его! Оставьте его, Петров.

Петров сердито пожал плечами, посмотрел прямо в вытаращенные глаза околоточного и отошел в сторону.

メモ
ну-ка:(口)(行為・動作を促して)さあ、それ、ねぇ
поговорить(←поговорим:現在形、一人称、複数形):(少し・しばらく)話をする、話し合う、相談する(完了体)
ну:(口)(人称代名詞とともに)失せる、付きまとうな、たくさんだ、お断りだ
сердито:腹を立てて、怒って;非常に厳しく、猛烈に
пожать(←пожал;過去形、男性形):что(廃)軽く押す;(挨拶・感謝の印に手・指を)握る(完了体)
 →不完了体:пожимать
прямо:真っ直ぐに、一直線に;(口)まったく、実に、まさに;(前置詞の前につけて)(口)ちょうど
вытаращенный(←вытаращенные:複数形):受動形容分詞
 →вытаращить:(口)(驚き・恐怖などで目を)見張る(完了体)
  →不完了体:вытаращивать
отойти(←отошел:過去形、男性形):(歩いてある場所から)離れる(完了体)
 →不完了体: отходить

「『しかし私の意見では、必要だ。彼らを全部(殺す)必要がある。もしもあなたが彼を不憫に思うのならば、どうぞ私にください。さぁ、行こう、話し合おう!』
『必要ないよ!』 他の人たちが支持した。『失せろ! 彼を置いていけ、ペトロフ』
 ペトロフは腹を立てて肩を押し、真っ直ぐに見張った目を警察分署長へと向けて、少し離れたところへと離れた」
 イヴァンさんマジで命の危機。話し合おうとか絶対に嘘じゃないですか。
『だが私の意見では、必要だね。彼ら全員にとって必要だ。もしも彼を不憫に思うのなら、どうぞ私に寄越してくれ。さぁ行こう、話をしようじゃないか!』
『必要ない!』 他の人たちが支持した。『失せろ! 彼を置いていけ、ペトロフ』
 ペトロフは腹を立てて肩をいからせ、警察官へと見開いた目を真っ直ぐに向けると、少し離れた」 


– Делайте как хотите, – равнодушно сказал он.

– Господи! – сказал Иван Иванович, провожая его глазами, и перекрестился. Посмотрел на всех и еще раз перекрестился. – Ну и человек. Вот так человек!

メモ
как хочешь[хотите]:好きなように;[挿入語](反駁の意味で)あなたの意見がどうあろうとも、それでもやはり
равнодушно:無関心に、無頓着に、冷淡に;(何かに対して)興味なく
господи!:まぁ、へぇ(驚愕・意外・不満などを示す)
провожая:副分詞
 → провожать:連れて行く、見送りに行く;(ある態度・やり方で)送る、見送る(不完了体)
  →完了体:проводить
ещё раз:もう一度、再び
вот так…!:(口)(皮肉)たいした…だ、酷い…だ、あきれた…だ

「『好きなようにしろよ』 無関心に彼は言った。
『神よ!』 イヴァン・イヴァノヴィッチは言った、彼を目で見送りながら、十字を切った。全員を見てもう一度十字を切った。『なんて人だ。全くなんて人なんだ!』」
 イヴァンさん危機を生き延びた模様。
『ご勝手に』と冷淡に彼は言った。
『神よ!』 イヴァン・イヴァノヴィッチは言った。彼を目で見送りながら、十字を切った。全員を見回して、もう一度、十字を切った。『なんて人だ。全くなんて人なんだ!』


Дружинники собрались в кружок и стали советоваться, как поступить с околоточным. Это был первый их пленный, и они не знали, что с ним делать. И молодой, сияющий, с шашкой через плечо, засмеялся, хлопнул Ивана Ивановича по плечу и предложил:

メモ
собраться(←собрались:過去形、複数形):集まる、参集する(完了体)
 →不完了体:собираться
кружок[指小]круг:円
советоваться:助言を求める、相談する(不完了体)
поступить:振る舞う、行動する、扱う、(ある)態度を取る;(学校などに)入る、(仕事に)就く;届く、着く、入る(完了体)
 →不完了体:поступать
пленный:捕虜になった、囚われの;捕虜
хлопнуть(←хлопнул:過去形、男性形):(打って・突いて)ばたんと音を立てる;(弾けて、破裂・爆発して)鈍い音を立てる;(口)打つ、叩く(完了体)(一回)
 →不完了体:хлопать
предложить(←предложил:過去形、男性形):提供する、差し出す、(…しようと)申し出る;(…することを)求める、勧める、要求する、命ずる(完了体)
 →不完了体: предлагать

「義勇団員たちは円になって集まり相談していた、警察分署長をどう扱うか。それは彼らの最初の捕虜で、彼らは知らなかった、何を彼にするのか。若い、目を輝かせた、軍刀を携えた肩ごしに、笑った、イヴァン・イヴァノヴィッチの肩を叩くと申し出た」
義勇団員たちは円になって集まり、相談した。警察官をどう扱うのか。これは彼らの最初の捕虜で、彼らは何をしていいのか分からなかったのだ。若くて喜びに満ちた、肩に軍刀を携えた彼は笑い、イヴァン・イヴァノヴィッチの肩を叩くと、こんなことを言い出した


– Пусть-ка идет строить баррикаду. Народу у нас мало, а он парень здоровый. Верно? – И он подмигнул Ивану Ивановичу.

– Как же это? – удивился тот. – В моем положении, и вдруг…

– Вы, быть может, предпочитаете поговорить с товарищем? – вежливо осведомился первый дружинник, указывая на Петрова.

メモ
пусть:(動詞の一人称・三人称、まれに二人称現在形・未来形とともに用いて)…させろ、…すべきだ;…するがよい、…させておけ
строить:三本よりにする、三列にする、三重にする、三度繰り返す(完了体)
 →不完了体:страивать, троить
строить:建設する、建築する(完了体)
 →不完了体:построить
парень:(口)(未婚の)若者、青年;(俗)(ふつう親しみを込めて)男、やつ、やっこさん
здоровый:健康な、丈夫な、壮健な
верно:忠実に、正しく、間違いなく;[述](疑問または簡単の語調で、または肯定語として)正しい、その通り
подмигнуть(←подмигнул:過去形、男性形):кому目配せする、ウインクする(完了体)(一回)
 →不完了体:подмигивать
положение(←положении:前置格):位置、所在;姿勢;状態、境遇、立場、状況
предпочитать(←предпочитаете:現在形、二人称、複数形):кого-что, кому-чему(…よりも…のほうを)選ぶ、好む、良いと思う(不完了体)
 →完了体:предпочесть
поговорить:(少し・しばらく)話をする、話し合う、相談する(完了体)
вежливо:丁寧に、礼儀正しく
осведомиться(←осведомился:過去形、男性形):尋ねる、照会する、問い合わせる(完了体)
 →不完了体:осведомляться
указывая:副分詞
 →указывать:на кого-что(身振り・指などで)指し示す(不完了体)
  →完了体:указать

「『バリケードを建築させるべきだ。我々の国民は少ないが、やっこさんは健康だ。正しいだろう?』そして彼はイヴァン・イヴァノヴィッチにウインクした。
『何だって?』そう驚いた。『私の立場では、突然……』
『あなたは、もしかして、お仲間とちょっと話をしたいんじゃないですか?』礼儀正しく尋ねた最初の義勇団員が、ペトロフを指し示しながら」
 イヴァンさん冗談交じりに脅されるの巻。
『バリケードを建築させるべきだよ。我々の人員は少ないが、コイツは健康だ。そうだろう?』 とイヴァン・イヴァノヴィッチに目配せした。
『何だって?』と彼は驚いた。『私の立場では、そんな突然……』
『貴方、もしや、同志とちょっとお話し合いをしたいんですか?』 礼儀正しく尋ねたのは最初の義勇団員だった、その指し示す先にはペトロフ


– Нет уж, Бог с ним! – отмахнулся рукою околоточный; дружинник засмеялся, и только Петров нахмурился еще больше и отвернулся. – Я ведь, собственно, ничего не имею. Помочь так помочь, с большим удовольствием. Вот только костюм у меня неподходящий…

メモ
бог с ним[с тобой, с вами,  с ней, с ними](相手の言葉・行為に対する驚き・非難・不同意を表して)おやまぁ、とんでもない、そんなことがあってよいものか
отмахнуться(← отмахнулся:過去形、男性形):(手などを振って)追い払う、払いのける;(口)断る、相手にしない(完了体)(一回)
 →不完了体:отмахиваться
нахмуриться(←нахмурился:過去形、男性形):顔を曇らせる、眉を顰める、しかめっ面をする(完了体)
 →不完了体:нахмуриваться, хмуриваться
отвернуться(←отвернулся:過去形、男性形):折れ曲がる、横を向く、顔を背ける(完了体)
 →不完了体:отвёртываться, отворачиваться
собственно:[挿入語]本来、元々、実際は、実を言えば
удовольствие(←удовольствием:造格):満足、喜び、娯楽、快楽、遊び、楽しみ
костюм:衣服、服装、衣装
неподходящий:不適当な、不相応な、合わない

「『一体なんだって、とんでもない!』 警察官は腕で追い払った;義勇団員は笑い始め、ただペトロフだけはとても大いに顔を曇らせ横を向いた。『私は本当は、実際は、何も持っていないんだ。手伝いたいのは手伝いたいよ、大きな喜びを伴って。ただ私の服装だけが不相応なんだ……』」
 イヴァンさん、汚れやすい色をしたコートを盾に必死のお断り。まぁ警察官だからね。テロ組織(なの?)のお手伝いは出来ませんよね。
『一体なんだって、とんでもない!』 警察官は腕を払った。義勇団員は笑いだし、ただペトロフだけが大きく顔を顰めて横を向いた。『私は本当に、実際のところ、何も持っちゃいないんだ。喜んで手伝いたいのはやまやまなんだが。ただこの私の服がどうにも不都合で……』


– Мы вас не уговариваем…

– Да нет же, Господи, я с большим удовольствием. Пальто вот действительно жалко, вы сами понимаете, – а я что же!

メモ
уговаривать(←уговариваем:現在形、一人称、複数形):説得する、同意させる(不完了体)
 →完了体:уговорить
(Ах ты) Господи!:まぁ、へぇ
действительно:本当に、実際に
(ну) что ж[же]:(口)しょうがない、まあいい(譲歩する、賛成せざるを得ない時)

「『我々は貴方を説得しているわけじゃない……』
『ああ、とんでもない、まぁ私は大きな満足を伴っている。コートはこう本当に哀れで、貴方たちだって分かっているでしょう――が、私は仕方が無い』」
 あれこれもしかして、本気でコートが惜しいんじゃ? どっちにしろこんなにコートコート言ってたらコート取られちゃうんじゃ。
『何も説得してるわけじゃない……』
『そんな、とんでもない、喜んで。コートだけが本当に可哀想で、貴方たちだって分かっているでしょう――だが、仕方ない!』




 会話文が難しすぎる。うーん。
 

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