作品社から3作刊行されたアナスタシヤ・カメンスカヤシリーズだが、光文社文庫からも3作出ていて、これは光文社文庫での1作目。オリジナルから換算すると2作目に当たる。ややこしい。
作品自体は基本的に1巻完結なので、シリーズ順はそこまで気にしなくても問題ないんですけどね。ただ今回は作品社版の2作目『孤独な殺人者』でアナスタシヤを手助けしてくれた謎の大物とのいきさつが分かる回となっている。
光文社文庫の3冊の内、何故かこの1冊目だけ翻訳者が貝澤哉先生という謎。
満身創痍のアナスタシヤは、上司ゴルジェーエフの勧めによりN市の保養所で休暇を取ることとなる。
とは言え、のんびりと休暇を楽しめるほど収入の良くないアナスタシヤは、保養所で治療を受けつつ翻訳の内職をすることに。その為の大荷物と共に旅立ったアナスタシヤは、いきなりの手違いにより不愉快な目に遭う羽目となる。
一方、保養所を有するN市の実質的な支配者デニソフは、自分の領地で起こっている奇妙な出来事に頭を悩ませていた。犯罪も行政も全ては彼の支配下にあるはずなのに、彼の知らない事件が起こっているのだ。
デニソフは部下達に事態の全容解明を命じる。徐々に明らかになるとこによると、どうやら保養所が関与しているらしく……。
自分の非人間っぷりを疑問を抱いたり、長く付き合っている恋人がいるにも関わらず他の男によろめいたりと、アナスタシヤの不完全さが生き生きと描かれるが故に、彼女が魅力的な一冊。
しかしここでも小人が出て来ちゃってたのね。
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