中公文庫でこのお堅いタイトルとくれば、お堅い内容なんですね!?と期待して予約して買ったせいで、肩透かし食らって転倒したのでむくれて割と最近まで忘れていた一冊。
帯を見れば分かるだろうよ、私。ってネット書店で書影が出るより先に買ったんだったわ。
勝手に期待して勝手に転けた私の勝手なイラッと分を抜いて、中公文庫でこの内容の軽さはアリなのかという思いも抜いて、タイトルの堅さも脇に置いて、つまりはエッセイの延長線上の存在だと思えばなかなかに面白い一冊ではある。
情報の濃さよりも語り口の面白さに重きを置く、そんな気軽な本としてはオススメ。
私としては、本には小説を筆頭とする「語り手の日本語力を楽しむもの」と、娯楽作品以外の「情報の濃さそのものに価値があるもの」の2種類があると思っていて、今回は後者のつもりだったのでそれが裏切られたことに割と深刻なダメージを負っている訳です。
評価され易い前者に対して、評価もされにくければバカ売れなんて事態とは無縁の後者をこそ応援したいと思っていて、つまり私は後者にしか金を出す気がないので、なんか凄く騙された気持ちがですね。
ややこしいことは止めてよ、中央公論社さん……と言うのが私が感じた最大の感想だったりします。まぁ勝手に私が騙されただけなんですけどね。
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Тадасиと申します。
返信削除僕はこの著者の大ファンで、この本も買いました。黒田節が炸裂して、一気に読み終えました。著者の言語論を垣間見ることができて、
とっても楽しく読めました。
Тадасиさん、こんにちは。
返信削除コメントありがとうございます。
黒田先生のお父様は落語家なんですね。先日そのことを知って、この語り口の美味さの理由がちょっと分かった気がしました。