アレクサンドラ・マリーニナ『死とほんのすこしの愛 モスクワ市警殺人課分析官アナスタシヤ・シリーズ・3(光文社文庫)』



 邦訳版アナスタシヤシリーズとしては最後の一冊。原作では7作目。
 確認して知ったけれど、この光文社文庫のシリーズ2作目『無限の殺意』は原作では5作目で、『死とほんのすこしの愛』との間に1作品あるのか。


 アレクセイがいかに自分のことを理解しているのかを知ったアナスタシヤは、長い交際期間の末に遂に彼との結婚を決めた。
 アナスタシヤのその決意を知った彼の異母弟サーシャとその婚約者ダリヤ(『孤独な殺人者』ではダーシャ)は一計を案じ、アナスタシヤたちと同じ日に籍を入れるべく画策するのだった。
 そんな目出度い婚姻の日に、事件は起こる。アナスタシヤの部屋に「やめろ。さもないと後悔するぞ」との脅迫手紙が届けられたのだ。
 モスクワの民警で犯罪分析官として働くアナスタシヤには、心当たりがあった。先日、とある事件容疑者の偽のアリバイを暴いたのだ。それを根に持っての犯行だろう。

 そう判断したアナスタシヤだったが、結婚を楽しみにしているダーシャのことを慮り、予定通りに戸籍登録所へと向かう。そしてそこで殺人事件が。しかし殺されたのはアナスタシヤではなく、別の花嫁であった。
 更に別の戸籍登録所でも花嫁が殺され、加えてアナスタシヤに送られたのと同じ脅迫文を他の花嫁も受け取っていたことが分かり、事態は混迷を深めていく。
 結婚に合わせて休暇を取ったアナスタシヤだったが、自身も巻き込まれたこの事件を解明すべく、奔走する。



 邦訳版としては最終巻となる本作が、今までで一番面白かった。
 見返しに記載されている〈主な登場人物〉のアレクセイの説明文が「アナスタシヤの夫」となっていることに、感動してしまった。私は結構重篤にこのシリーズの登場人物が好きなようだ。

 妻との離婚を子供可愛さで迷っていたサーシャだけど、結局子供はどうなったんだよとか、気になる点がないこともないのだけれど、それは他の作品を読めば判明するのだろうか。
 ……でももう日本語訳されなさそうだしなぁ。



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