テキスト感想:原求作『ロシア語の体の用法』(水声社)


ロシア語の体の用法

原 求作 水声社 1996-10
売り上げランキング : 769423
by ヨメレバ

 結局のところ、完了体動詞と不完了体動詞の使い分けなんて、書き手(話し手)の気分次第なんじゃないの? 習った用法と辻褄が合わないんですけど!?
 と、テキストを離れて実際のロシア文を読み始めると気になる疑問を解決する手掛かりを与えてくれる一冊。



 本来は不完了体の命令形を使うべき箇所で、完了体を使うと失礼な表現になる、なんて話は眼から鱗。これは本来適した動詞を使わないこと、がミソなので、完了体の命令形を使うべき箇所で不完了体の場合も同様。
 逆に同じ動詞の繰り返しを避けるためだけに二回目に異なる動詞を使うなんて、あまり意味の無い用法も登場する。

 また、かつてロシア語が英語同様に有していた現在完了形や過去完了形、過去未来などの用法を失い、その結果として完了体・不完了体の組み合わせが成立したものの、完全に失ったものを埋めることは出来ず、過去完了形などは前後の文脈から類推するしかない。
 ……なんて歴史的な話がこれまた面白い。
 とはいえ、本書ではこの手の歴史の話はほんの少しだけであり、その説明は他書に譲られているが。



 ちなみに、練習問題編もある。
 私は割と早くに心が折れてしまって、まだ全然解けていないけれど。ここで単語力の不足っぷりに気が付いたので、現在ちまちまと単語を増やす努力をしております。実るかどうかは怪しいところ。


ロシア語の体の用法 練習問題編

原 求作 水声社 1998-06
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by ヨメレバ

 この本よりも先に、実は『ロシア語の運動の用法』の方を買った。たまたまロシア語の棚で見かけて気になったから、というテキトーな理由だったのだが、それがなかなか面白かった。と言っても最初の方しか読んでいないのだが。
 読んでいない理由は、この『ロシア語の運動の用法』が主眼としているのは定動詞と不定動詞でありまして、私的にはそれ以前に完了体と不完了体の使い分けを理解する必要があるなと思いまして。それで調べたら、同じ作者がちゃんと出していた。それがこの『ロシア語の体の用法』。

 たまたま手に取った本が面白くて、他の本との出会いに繋がっていくのは至福の喜び。
 そんな訳で本来ならば次はその『ロシア語の運動の用法』のはずだったのだが、同作者の他の作品に面白そうなのがあったので、そちらに手を付けることにした。



 ちなみに、『ロシア語の体の用法』も『ロシア語の運動の用法』も初版のみで重版はなし、恐らく今後も予定はないだろうから、つまりは現在、市場に出回っている分のみ。
 ちょっとお高いけれど、気になる方はお早めに。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    ozonでの買い物記録を拝読いたしました。
    ロシアのサイトでお買いものの体験をする醍醐味を感じました。
    余計なお世話だとは思いますが、日本でもロシアの書籍、DVD
    音楽、朗読CDなどを取り扱っている会社があります。
    ナウカジャパン。
    http://www.naukajapan.jp/
    Сологубと検索すると出てきます。(もう必要ないですね・・・)
    はらはらどきどきせずに、ロシアの出版物を入手できます。
    (お好みにの物があるかはわかりませんが)
    ではでは。

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    1. はじめまして、コメントありがとうございます。
      ozonは今のところ書籍以外はロシア国外に発送してくれないので、そういうのを買うときにはナウカさんも便利そうです。

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