ロシアに行って来たよ その4:サインを頂いてニヤニヤするドモジェドボ-サンクトペテルブルグ編


 ドモジェドボ空港で飛行機から降り立った我等がツアー一行、ここで初めて全員が集められることに。
 と言っても私以外のメンバーは成田で一度集合しているのですが。時間がギリギリすぎる私だけ集合時間に成田に来ることを免除されていたのですねー。まぁその時間は余裕で機上の人やってたんで無理なんですけども。

 28名募集で満員御礼の表示が出ていたものの、その後キャンセルが出たそうで実際は25人。ご夫婦で参加の方が半分、一人参加が半分と言った感じだったかな。
 一人参加は男女それぞれほぼ同数で、これは結構珍しいことだそうな。普通、一人参加は女性が圧倒的に多いらしい。
 一人参加で相部屋希望なのは私ともう一人の女性Aさんだけだったので、ツアー中ずっとAさんと同室でした。夜行列車の時は違ったので、正確に言えば「ほぼ」ずっとか。

 それでこのAさんが、なんと神戸の方。私が大阪なので、「ロシアくんだりまで来て何故関西圏の人とずっと同室かい」と思わないこともなかったけれど、大阪人独特の全力でネタを拾いに走る姿勢が生理的に無理な方も世の中には多いので、その点神戸の方ならもう慣れているだろうと安心感。会話にネタを仕込むこのしゃべり方を、この長い旅行中自粛させられたら死にかねないですからね、真面目に。
 常にオチを求めるこの姿勢に対して、たまに真剣に「ふざけてるの?」と聞かれますが、ふざけてないですよ。いや、ふざけてるんですけど、本気でふざけてるんです。真剣な話、私どもは話術に己の人間的尊厳の全てを賭けているんです。なので「お前の話はツマラン」とか言われると、溶けて消えます。
 ……芸人でもないのに、何故ここまで真剣に笑いと向き合っているのかは、我ながら分かりません。一種の呪いか病気だと思われます。




 と話を戻して。飛行機を降りて一旦集合した我等がツアー一行は、添乗員さんの後をアヒルの雛よろしく追いかけて入国審査のブースへ向かう。
 集合してなんだかんだしている間に、人はほぼハケていた。入国審査とかサックリ終わるでしょ、と思っていたら、係の人に結構じーっと見詰められる。しかも険しい顔で。
 審査官の人、美人なのになー。毎日こんな険しい顔をしていたら眉間に皺が刻まれちゃいそう。なんて要らん心配をしながら見つめ合うこと数分くらい。何かが終わったらしく、にっこり微笑まれ「こことここにサインしろ」と紙を差し出される。

 全然有り難みのないこの紙こそが、入出国に必要な重要な書類である。写真を撮り忘れたのが残念だが、本気で有り難みゼロのただの紙切れである。だが渡される半紙は出国に絶対に必要。
 しかもホテルにチェックインする際には、パスポートと共に渡さなければならないので、鞄の奥に後生大事に仕舞い込むことも不可能。
 なくしそう、全力でなくしそうだよコレ! というか、ホテルの人がうっかり落としそう!
 と思っていたら、その後に添乗員さんが小さなクリップで留めてくださった。さすがプロである。私も個人旅行でロシアに来ることがあれば、絶対に持参しようと心に決めたのだった。とか言いながら、余裕で忘れそうですけどね。

 なお、サインしろと促される入国審査の台がめっちゃ高い。高すぎてサインしにくい。なんならパスポート記載のサインと全くの別物を書きかねないレベルで書きにくい。
 「こことここにサインしろ」って言われても、台が高すぎてどこを指してるのかよく見えない。私は思わず聞き返してしまった。
 日本の入国審査の台は私的には普通の高さだったので、これは両国の平均身長の差が反映されてるってことで宜しいのでしょうか。



 入国審査を無事にパスし、台高すぎだよーと笑い合いながらターンテーブルに向かったところ、既にターンテーブルは静止しており荷物は床に下ろされていた。どうやら時間が掛かりすぎたようである。
 伊丹でサヨナラした時にはピカピカの新品だったイエローなキャリーケースが、「もう数年は頑張ってるんですよねー」みたいな色で鎮座していて、ちょっと悲しい。みんななんで地味な色を選ぶんだろうと思ったら、こういうことなのねと納得する。

 同日乗り換えなのだから当然だが、サンクトペテルブルグ行きの飛行機までは比較的余裕があった。が、添乗員さんはとっととチェックインと保安検査を抜けたい構え。
 そんな訳で、広いドモジェドボ空港をキャリー引き引き歩き、まだチェックインが始まっていないS7航空(シベリア航空)のカウンター前へ。
 チェックインが始まるまで特にすることもないので、のんべんだらりんと周囲の人を観察したりする。

 まず目を惹くのは、花束を持った男性たち。ロシアでは奥さんや彼女を空港に迎えに来る時には花束を持参するのが普通らしい。そんな訳で、空港には花屋さんもあります。スリムなイケメンも、メタボのオジサンもみんな小さな花束を手にしていて、ロマンチック。
 次いで気になるのは、トラ柄。「こんなの大阪のオバちゃんしか買わないよ」なトラの顔がででーんと入ったTシャツが結構着られている。男女問わず、若い人も着ている。どうやら人気のようです、トラ。
 大阪のオバちゃんが着るとどうしても横方向に拡大するトラも、若い人だと高さが出て迫力満点。どう見ても大阪のオバちゃん愛好デザインなのに、なんかカッコイイ。
  そして気を引くのは、立派なラップ的なものでグルグル巻きにされたキャリーケースやボストンバック。グルグル巻きにしてくれる機械も見えた。
 グルグル巻かれている姿が面白くて、帰りは是非やってもらおうと思っていたのだが、なんかもう眠くて眠くてそれどころではなかった。次回があったら今度こそ挑戦したい。

 空港を行く人たちを眺めている内に、S7がチェックインカウンターを開けてくれたので各自荷物を預ける。再びサヨナラ、私のキャリーケース。
 今回乗った飛行機が小さめだったからか、S7自体がそういう体質だからかは知らないが、荷物の重量チェックがJALより断然厳しかった。重量オーバーは容赦なく追加料金を徴収された模様。
 この後の保安検査も国際線以上の厳しさ。ベルトや時計まで外して機械に通さなければならない。
 が、世の中には靴まで脱がせる空港もあると言うから、これでもまだマシだそうな。逆に職員がメールに忙しくて全然こっち見てないぞ、なんてザルな空港もあるらしい。世の中色々である。


 早めに早めにチェックインしたおかげで、搭乗時間までまだ1時間以上ある。そんな訳で一度解散することに。ただ保安検査を抜けた先には、そんなにお店がない。
 なので、まったりと外を眺めてみたりする。



 ちょうど見えてる飛行機はS7航空のもの。この特徴的な黄緑色がS7のイメージカラー。三菱東京UFJ銀行の赤色並に押している。
 客室乗務員さんの制服もこの色。何故この微妙な色にしたのかは知らない。
 本来なら手前に見えるキリル文字に「おお、ロシアに来たぞ」と感動するべきシーンなのだろうが、正直特に感慨湧かず。
 しかしдехって何だろう、辞書に載ってないんだけど。デッキか? まさかそんな。
 


 余りに暇なので、初めてのお買い物に挑戦してみた。と言っても相手は自動販売機なのだが。
 サクランボジュース。100ルーブル。高い。高い。
 スーパーでは30ルーブルしないクヴァスが空港では90ルーブルで売られているあたり、空港料金半端ない。
 なお、お味はなかなか美味しい。そこはかとなくチェリオの商品っぽいが。でもチェリオは完全人工物で出来てます感があるけれど、こちらはちゃんとサクランボが使われてる感ある。
 ところでチェリオって全国展開してたっけ。してなかったら超ローカルな例えになってるな。

 ちなみにこのペットボトルは、頭の透明部分を真上に引くと開く。ペットボトル本体が柔らかいので、ちゅーちゅー吸うと本体が凹むようになっている。
 割と飲みやすかったので、このタイプのペットボトルが日本で普及しても良いと思うんです。


 窓の柵に腰掛けようとしたら、全然届かなかったぜ。隣のロシア人のお兄さん、普通に座ってるどころか膝曲げてんのにね!
 なんて悲しい思いをしている間に、サンクトペテルブルグ行きの搭乗時間に。

 モスクワとサンクトペテルブルグという大都市同士を結ぶのだから、それなりに大きい飛行機かと思っていたのに、実際は割と小さくてビビる。左右3席だったか、右3席左2席だったか、まぁそんな感じだった。しかも古いような気が。
 ロシア国内便だけに、乗客は我らツアー一行以外はロシア人のようだ。席は9割ほど埋まっている。
 一応英語でのアナウンスもあるのだが、感動するほどに何を言っているのか分からない。飛行機で流れるアナウンスなんて予想がつくはずだが、全然分からない。
 私には日本系列以外の飛行機に一人で乗る勇気は出ないなぁ……。

 飛行機は無事に離陸。なお写真はない。通路側でも窓側でもない微妙な席だったからだよ! 全然テンションが上がらない。
 が、真後ろの席に座っていた家族連れの小学生くらいの息子さん二人が、離陸にハイテンションになっていて微笑ましかった。だが着陸にはノーリアクションだった。ちょっとくらい反応してよ。


 1時間半ほどの短いフライトだが、軽食が出る。こんなところもS7カラーの黄緑色で統一されていたりする。



 ラップサンド的なもの。チキンと野菜の2種類から選べた。私はチキン。
 チキンというかコーンの存在感の方が上だが、割と美味しい。だが具が美味しいのであって、皮だけの部分はコメントを控えたい感じ。
 一緒にコーヒーも貰ったが、これはJALのと良い勝負でそう美味しくもないが飲めないほど不味くもない。私がロシアのコーヒー不味すぎ伝説に出会うのは、翌日以降のことなのである。
 ……あれでもミルク付いてたっけ。言ったら貰えたんだっけな。ミルクなしで飲んだ記憶はないぞ。

 貰えたと言えば、新聞を配っていた。日本の夕刊よりも薄かったので、新聞じゃないのかもしれないが。
 下さいと言ったら3種類ほどある内の1種類を渡された。見た目でどれを渡すか決めてるのだろうか。
 窓の外もよく見えないので、頂いた新聞に載っていた数独を見詰めてフライト時間を消化する。誰かペン貸してください。

 なおトイレにインしている間に超揺れて、盛大にビビった。左右じゃなくて上下は真面目に怖いよ!
 ちょうどトイレから出たら向かいのもう1つのトイレからもオジサンが出て来て、二人で眉間に皺を寄せて「ちょっと大丈夫なの?」って感じで見つめ合ってしまった。

 数独とトイレの思い出以外もなく、飛行機は無事にサンクトペテルブルグに到着。空港の名前を覚えていないのだが、たぶんプルコヴォ空港で合っているだろう。他に空港ないみたいだし。
 ターンテーブルに向かうと、荷物がようやく出てくるところだった。
 伊丹空港に向かう時にはピカピカの新品だった私のキャリーケースが、旅のベテランみたいな顔になって出て来た。うん。ベルトが特に真っ黒だよ!

 と、私がキャリーケースをターンテーブルから引っ張り上げている間に、なにやらツアーのみなさまに衝撃が走っていた。
 あれーあの人どこかで見たような? と思ったら、2014年にノーベル物理学賞を受賞されてテレビに引っ張りだこになった天野浩教授だった。
 実は成田からずっと同じ便だったらしい。 ビジネスクラスだったから今の今まで出会わなかったようだ。それにドモジェドボでは私たち手間取ったものね。


 厚かましく写真とサインを頂いた。基本的に運のない私にこんな偶然が訪れようとは。
 天野先生はテレビで見たのと同じように、良い人オーラを放っておりました。



 その後、夜行列車のサービスで付いて来た新聞に、天野先生の記事が載っていた。
 この記事ではムルマンスク国立技術大学(МГТУの日本語名はこれでいいのか?)附属のホールで公演を行ったことが記されているが、検索をかけてみたところ6月中、天野先生はあちこちで公演を行われていたそうなので、サンクトペテルブルグでも行っていたのかもしれない。


 伊丹からサンクトペテルブルグまで移動して、ツアー1日目は終了。
 泊まったホテルはクラウンプラザ サンクトペテルブルグエアポート。空港が近くて、夜中ちょっと五月蝿い。
 でも広めのバスタブがあるのはポイント高し。ただ、シャワーブース・トイレ・バスタブの順に配置する意味はちょっと分からない。
 だが同室のAさんは要らないといったので、バスジェルを一人で使って泡風呂を満喫したりする。

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