織田博子『女一匹シベリア鉄道の旅』


女一匹シベリア鉄道の旅 (コミックエッセイの森)
女一匹シベリア鉄道の旅 (コミックエッセイの森)織田博子

イースト・プレス 2015-01-17
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 夜行列車ってロマンですよね。長距離列車ってロマンですよね!
 長距離を長時間掛けて走る電車はもう日本では絶滅危惧種。そんな昔のノスタルジーを未だ保持するシベリア鉄道の乗車エッセイ。
 相部屋の最初の相手は、ロシア人一家。
 サンクトペテルブルグやモスクワの有名所も訪れているので、ちょっとしたガイドになっているのがまた良い。絵も可愛い上に、建築物は結構豪華に描かれているし。
 ちなみに中身もフルカラー。



 実はこのエッセイをロシアに旅行に行く前に読んでいて、「ロシア人は感情が120%表に出る人たち」なんて描いてあるのをへーと思いながら読み流していたのだが、実際にロシアに行ったら本当にその通りで笑ってしまった。
 言葉が伝わらなくても、相手の顔に全部書いてあるってある意味便利。こっちの気持ちは恐らく殆ど伝わっていないが。
 個人的なロシアの印象は「良くも悪くも洗練されていない国」。
 ……いやー本当、もう何世紀にも渡ってヨーロッパの一流国の仲間入りをしようと頑張っておられるのに、こんなこと言うのは申し訳ないのですが、でもやっぱり先進国って感じはしないんだよなぁ、ロシア。

 客がレジに大量に並び出すと店員は露骨にイライラし出すし、客あしらいも粗くなる。その点、例えバイトでも最後までニッコニコしている日本の謎のプロフェッショナルさよ。
 その一方でコーヒーメーカの前で途方に暮れていたら、何も言わなくても教えようとしてくれたり(結局良く分からなかったけれど)と妙に親切であったりもする。
 良くも悪くも素朴な人たちと同じ車両で一日中一緒に旅をすることの楽しさが、この一冊には詰まっている。



 どうでもいい追加情報としては、この本では「モスクワの地下鉄の撮影は禁止」と書かれているが、現在は解禁されているそうな。
 ロシアのツアーで一緒になった人が駅員さんに聞いたって言ってた。
 更についでに言うと、モスクワの地下鉄の駅全てが綺麗な訳ではない。私はてっきり全部の駅が綺麗なのだと思っていて、つまりちょっとガッカリした。

 どうでもいい追加情報その2。よく見たら表紙の電車の絵にキリル文字で「ヒロ-2010」と書いてある!


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