マイナス50℃の世界 | |
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18世紀末、エカテリーナ女帝の時代にロシアに流れ着いた大黒屋光太夫。その旅路を辿るTBSの取材班に同行し、1984-85年にヤクート自治共和国(現・サハ共和国)を旅した作者による一冊。
エッセイが有名な作者だが、これが実質のデビュー作だそうな。
本書は子供向けの媒体向けに書かれたものが大半なので、とても読みやすい。山本皓一による写真がまた素敵な一冊である。
ヤクート自治共和国は、世界で最も寒いと評される国。プラスチック製品は寒さに耐えきれず、悲しくも劣化破損してしまう地である。なにせマイナス21℃が温かいと形容されるほどなのだ。
寒さ故に飛行機が飛ばないのは当然のこと、生活で出る水蒸気は寒すぎて凍り、町は白に包まれてしまう。10メートル先も見えない有り様。
寒さのために道路やマンションも私たちの常識とは違う姿をしている。だがその理由を知ると納得だ。
子供のために正確に分かりやすく書こうと努力する作者の人柄が見えて、その真摯さに心が温かくなる一冊。
ちなみに私が読んだのは清流出版の単行本版。2012年には角川ソフィア文庫から文庫版が出ている。
今読むなら文庫版の方が安いし、良かったのかも。
マイナス50℃の世界 (角川ソフィア文庫) | |
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