試訳の裏側:レフ・トルストイ「三匹のクマ」


 先生にオススメ頂いたので、トルストイの「三匹のクマ」に挑戦してみた次第。
 初級英語で英語版を読んだ記憶があったが、ロシア語版は思った以上に時間が掛かった。ちょっと私にはまだ荷が重い……とか言い出したら、全て荷が重いのですが。

 トルストイという名前の作家は複数いるので、今回は例外的に名前も併記した。


 出典は以下: 
 «Собрание сочинений в двадцати двух томах ТОМ 10. ПРОИЗВЕДЕНИЯ 1872-1886 ГГ»収録、«Рассказы из «Новой азбуки» »項目内«Три медведя (Сказка)»


今回も、
 『岩波ロシア語辞典』(岩波書店)
 『NHK新ロシア語入門』(日本放送出版協会) にお世話になりました。

今回は参考にした既存の訳は特になし。


 例によってツッコミ等は歓迎しております。
 以下は、いつもの七転八倒な和訳への道。


注:色つき文字部分は、私(春色)の独り言。
太字は原文、もしくは最終的な日本語訳



Три медведя (Сказка) 

メモ
медведь(←медведя:生格):クマ

 三匹のクマ
 三匹なのにクマは単数生格なの?と疑問に思ったが、数字2,3,4に続く名詞は単数生格で表すらしい。解せぬ。
 ちなみに1に続く名詞は主格、5以降は複数生格。
 ちなみにちなみに、21は主格、22-24は単数生格、25-30は複数生格、31は主格、32-34は……以下省略。



Одна девочка ушла из дома в лес. В лесу она заблудилась и стала искать дорогу домой, да не нашла, а пришла в лесу к домику.

メモ
девочка:女の子、少女
лес:森
заблудиться(←заблудилась:過去形、女性形):道に迷う(完了体)
стать(←стала:過去形、女性形)+不定形:…するようになる、…しだす(完了体)
 →становиться(不完了体)
искать:探す(不完了体)
дорога(←дорогу:対格):道、道路
домик(←домику:与格):小さな家(домの指小形)

 「一人の女の子が家を出て森へと行きました。森の中で彼女は道に迷い、家への道を探し出しましたが、見付かりません、一方、森の中でお家に辿り着きました」
 家から森へと行って、速攻で道に迷ったみたいに思えるのは気のせいか。
 英語だとone girlとa girlでニュアンスが違うけれど、ロシア語だとどうなんだろう。ロシア語に冠詞はないけれど主語が単数ならいちいち「1」と言わなくても単数だと分かる訳だし、やっぱりニュアンスに違いがあるのだろうか。
 まぁ分からないので置いておこう。
 一人の女の子が、家を出て森へと向かいました。彼女は森の中で道に迷い、家への道が分からなくなりました。そんな彼女が辿り着いたのは、お家でした



Дверь была отворена: она посмотрела в дверь, видит — в домике никого нет, и вошла. В домике этом жили три медведя. Один медведь был отец, звали его Михаил Иваныч. Он был большой и лохматый. Другой была медведица. Она была поменьше, и звали ее Настасья Петровна. Третий был маленький медвежонок, и звали его Мишутка. Медведей не было дома, они ушли гулять по лесу.

メモ
дверь:ドア、戸
отворена:受動形容詞過去形、短語尾形、女性形
 ← отворить:(窓などを)開ける、…の扉を開けて出入り出来るようにする(完了体)
  →отворять(不完了体)
посмотреть(←посмотрела:過去形、女性形):見る(完了体)
 →смотреть(不完了体)
никто(←никого:生格):(否定)誰も(…でない)
войти(←вошла:過去形、女性形):入る(完了体)
 →входить(不完了体)
большой:大きい
лохматый:毛むくじゃらの、むく毛の生えた
медведица:雌熊
поменьше:もう少し小さい
третий:三番目の
маленький:小さい
медвежонок:小熊
гулять:散歩する、外に出る(不完了体)

 「ドアは開けられていました。なので彼女はドアの中を見ました、見えたのは――家の中には誰も居ませんでした。家の中には三匹のクマが暮らしていました。一匹のクマは父親で、ミハイル・イワノヴィッチと呼ばれていました。彼は大きくて毛むくじゃらでした。もう一匹はメスグマです。彼女は少し小さくて、ナスターシャ・ペトロヴナと呼ばれていました。三番目は小さいコグマで、ミーシュチカと呼ばれていました。クマたちは家にいませんでした、彼らは森へと散歩に行ったのです」
 Мишуткаの読み方に自信が持てない。他の二人の名前はGoogleさんが教えてくれた。
 日本語として不自然なので、少し手を入れて、 ドアは開いていました。彼女はドアの中を覗きました。見えたのは――お家の中には、誰も居ませんでした。実はこの家の中には三匹のクマが暮らしていたのですが。一匹は父親で、ミハイル・イワノヴィッチと呼ばれていました。彼は大きくて、毛むくじゃらでした。もう一匹はメスでした。彼女は少し小さく、ナスターシャ・ペドロヴナと呼ばれていました。三番目は子供で、ミーシュチカと呼ばれていました。クマたちは家にいませんでした。彼らは森へと散歩に出かけていました
 ちなみに、クマの名前と言えばミーシュチカ、ミーシャ(Миша)がロシア語では一般的らしい。クマと言えばプーさん的な感じ?
 ただミーシャ等は愛称形なので大人のクマに使うのはちょっとなー、ってな訳でここではお父さんクマはミーシャの正式名称ミハイルになっている模様。



В домике было две комнаты: одна столовая, другая спальня. Девочка вошла в столовую и увидела на столе три чашки с похлебкой. Первая чашка, очень большая, была Михайлы Ивановичева. Вторая чашка, поменьше, была Настасьи Петровнина; третья, синенькая чашечка, была Мишуткина. Подле каждой чашки лежала ложка: большая, средняя и маленькая.

メモ
чашка(←чашки:複数形):カップ
похлёбка(←похлёбкой:造格):スープ
первый(←первая:女性形):一番目の
второй(←вторая:女性形):第二の
третий(←третья:女性形):第三の
синенький(←синенькая:女性形):[表愛・指小形]синий
подле:(廃)(文)すぐそばに、近くに
каждый(←каждой:女性形、生格):それぞれの、おのおのの
лежать(←лежала:過去形、女性形):(物が横にして)置いてある(不完了体)
ложка:スプーン
средний(←средняя:女性形):中間の、普通の
маленький(←маленькая:女性形):小さい、小さな

 「お家の中には二つの部屋がありました:一つは食堂で、もう片方は寝室です。女の子は食堂へと入り、机の上に三つのスープ皿を見ました。一番目の皿、とっても大きい、はミハイル・イワノヴィッチのでした。二番目のお皿、少し小さい、はナスターシャ・ペドロヴナので、三番目、青色のお皿、はミーシュチカのでした。それぞれのお皿の傍にはスプーンが置いてありました。大きいの、普通の、小さいの」
 ちょっと整理して、お家には二つの部屋がありました。食堂と寝室です。女の子は食堂へ入ると、机の上に三つのお皿を見ました。一番目のとっても大きいお皿は、ミハイル・イワノヴィッチのです。二番目の少し小さいお皿は、ナスターシャ・ペドロヴナの、三番目の青色のお皿はミーシュチカのです。それぞれのお皿の側にはスプーンが置かれていました。大きいの、中くらいの、小さいの



Девочка взяла самую большую ложку и похлебала из самой большой чашки; потом взяла среднюю ложку и похлебала из средней чашки, потом взяла маленькую ложечку и похлебала из синенькой чашечки; и Мишуткина похлебка ей показалась лучше всех.

メモ
взять(←взяла:過去形、女性形):(手に)とる、持っていく、利用する(完了体)
 →брать(不完了体)
самый(←самую:女性形、対格):(形容詞の前に添えて最上級を作る)一番、最も
похлебать(←похлебала:過去形、女性形):(俗)(スープなどをある量)食べる、飲む(完了体)
потом:その後に、その次に
показалася(←показалась:過去形、女性形):(俗)…の気に入る(完了体)

 「女の子は一番大きなスプーンを手に取り一番大きなお皿から飲みました、次に中ぐらいのスプーンを手に取り中くらいのお皿から飲みました、次に小さいスプーンを手に取り青いお皿から飲みました、ミーシュチカのスープが全ての中でより彼女の気に入りました」
 女の子は、一番大きなスプーンを手に取り、一番大きなお皿からスープを飲みました。それから中くらいのスプーンで、中くらいのお皿から飲みました。それから小さなスプーンで青いお皿から飲みました。その中では、ミーシュチカのスープがもっとも気に入りました



Девочка захотела сесть и видит у стола три стула: один большой, Михайлы Иваныча, другой поменьше, Настасьи Петровнин, и третий, маленький, с синенькой подушечкой — Мишуткин. Она полезла на большой стул и упала; потом села на средний стул, на нем было неловко, потом села на маленький стульчик и засмеялась, так было хорошо. Она взяла синенькую чашечку на колена и стала есть. Поела всю похлебку и стала качаться на стуле.

メモ
захотеть(←захотела:過去形、女性形):欲しくなる(完了体)
по-:(比較級の前に添えて)もっと、もう少し
меный←(меньше:比較級):小さな
подушечка(←подушечкой:造格):[指小]подушка
 →подушка:枕、クッション
полезть(←полезла:過去形、女性形):はい上がり始める、よじ登り始める(完了体)
упать(←упала:過去形、女性形):落ちる、落下する(完了体)
 →падать(不完了体)
сесть(←села:過去形、女性形):(立っている状態から)座る、腰を下ろす(完了体)
 →садиться(不完了体)
неловко:不便だ、窮屈だ、楽でない
засмеяться(←засмеялась:過去形、女性形):[始発]смеяться(完了体)
колено(←колена:生格):ひざ
есть:食べる(不完了体)
 →съесть(完了体)
поесть(←поела:過去形、女性形):食事を済ませる(完了体)
качаться:揺れる(不完了体)

 「女の子は座りたくなり、机の近くに三つの椅子が見えました。大きい一つはミハイル・イワノヴィッチので、別のもう少し小さいのはナスターシャ・ペドロヴナので、三つ目、小さいの、青いクッション付きのが―ミーシュチカのでした。彼女は大きな椅子によじ登って落ちました。それから中くらいの椅子に座りました、彼女には楽ではありませんでした。その次に小さな椅子に座り、笑い出しました。あまりにも素晴らしかったのです。彼女は青色のお皿をひざの上に持ってくると食べ始めました。全てのスープを食べ終わると、椅子の上で揺れ始めました」
 一節が長くないか。もうちょっと改行してくれても良いと思うの。
 女の子は座りたくなり、見ると机の近くに三つの椅子がありました。大きい一脚はミハイル・イワノヴィッチので、別のもう少し小さいのはナスターシャ・ペドロヴナのです。三番目の青いクッション付きの小さいのが、ミーシュチカのでした。彼女は大きな椅子によじ登り、落ちました。それから中くらいの椅子に座りましたが、彼女にはしっくり来ませんでした。それから小さな椅子に座り、笑い出しました。あまりにも素晴らしかったからです。彼女は青色のお皿を膝の上に置き、食べ始めました。全てのスープを飲んでしまうと、椅子の上で揺れ始めました



Стульчик проломился, и она упала на пол. Она встала, подняла стульчик и пошла в другую горницу. Там стояли три кровати: одна большая — Михайлы Иванычева, другая средняя — Настасьи Петровнина, третья маленькая — Мишенькина. Девочка легла в большую, ей было слишком просторно; легла в среднюю — было слишком высоко; легла в маленькую — кроватка пришлась ей как раз впору, и она заснула.

メモпроломиться(←проломился:過去形、男性形):圧されて破れる、壊れて穴が開く(完了体)
 →проламываться(不完了体)
пол:床
встать(←встала:過去形、女性形):起立する、立ち上がる(完了体)
 →вставать(不完了体)
поднять(←подняла:過去形、女性形):拾い上げる、取り上げる、持ち上げる(完了体)
 →поднимать(不完了体)
горница(←горницу:対格):(廃)部屋
кровать(←кровати:複数形):ベッド、寝台
слишком :あまりに、過度に(…すぎる)
просторно:広々と、ゆったりと
высоко:高い、高さがある
кроватка:[指小形]кровать
прийтись(←пришлась:過去形、女性形):合う、ぴったりする、相応する、似合う(完了体)
 →приходиться(不完了体)
как раз:(衣服などが)ぴったりだ、ちょうどいい
впору:(口)(寸法などが)ちょうどぴったり
заснуть(←заснула:過去形、女性形):寝入る、眠り込む(完了体)
 →засыпать(不完了体)

 「椅子は壊れて穴が開き、彼女は床に落ちました。彼女は立ち上がると、椅子を拾い上げてからもう一つの部屋へと向かいました。そこには三つのベッドがありました。大きい一つはミハイル・イワノヴッチので、別の中くらいのはナスターシヤ・ペトロヴナの、三つ目の小さいのがミーシュチカのです。女の子は大きいのに横になりました、彼女にはあまりに広すぎました、中くらいのに横になりました、あまりにも高すぎました。小さいのに横になりました。ベッドは彼女にちょうどぴったりでした、そして彼女は眠り込みました」
 高すぎるベッドってどういうことなんだろう? 他人通り越して見知らぬクマのベッドに寝るとは、この子は将来大物になるな。
 椅子は壊れて穴が開き、女の子は床に落ちました。彼女は立ち上がり椅子を拾い上げると、もう一つの部屋へと向かいました。そこには三台のベッドがありました。大きい一台はミハイル・イワノヴィッチの、別の中くらいのはナスターシャ・ペトロヴナの、三つ目の小さいのはミーシュチカのでした。女の子は大きいベッドに横になりました。彼女にはあまりにも広すぎました。中くらいのに横になりました。彼女にはあまりにも高すぎました。小さいのに横になりました。彼女にちょうどぴったりでした。女の子は眠り込んでしまいました



А медведи пришли домой голодные и захотели обедать. Большой медведь взял свою чашку, взглянул и заревел страшным голосом: «Кто хлебал в моей чашке!»

メモ
прийти(←пришли:過去形、複数形):(歩いて)来る、やって来る、着く(不完了体)
голодный(←голодные:複数形):飢えた、空腹な
захотеть(←захотели:過去形、複数形):欲しくなる、したくなる(完了体)
обедать:食事をとる(不完了体)
взглянуть(←взглянул:過去形、男性形):眼を向ける、ちらりと見る(完了体)
 →взглядывать(不完了体)
зареветь(←заревел:過去形、男性形)[始発]реветь(完了体)
 →реветь:(動物が)吠える、うなる(不完了体)
страшный(←страшным:造格):恐ろしい
хлебать(←хлебал:過去形、男性形):(口)がぶがぶ飲む、(俗)スプーンですすって食べる(不完了体)

 クマさんsご帰還の巻。
 「飢えたクマたちが家に来ました、食事をしたくなって。大きなクマは自分の皿を持ち上げ、見ると恐ろしい声で吠え始めました。『誰かが俺のスープをがぶがぶ飲んだぞ!』」
 なんかだいぶ怖いんですけど。女の子が頭から美味しく食べられる展開ではないので、ちょっとマイルドに。
お腹をへらしたクマたちが食事をするために家へと戻って来ました。大きなクマは自分の皿を持ち上げると、それを見て恐ろしい声で吠えはじめました。『誰かが俺のスープを飲んだぞ!』



Настасья Петровна посмотрела свою чашку и зарычала не так громко: «Кто хлебал в моей чашке!»

メモ
зарычать(←зарычала:過去形、女性形):(俗)どなる、がみがみ言う、(動物が)うなる、吠える(不完了体)
громко:大きな声で、大声で

 「ナスターシャ・ペトロヴナは自分の皿を見ると、そう大声ではありませんが唸りました。『誰かが私のスープを飲んだわ!』



А Мишутка увидал свою пустую чашечку и запищал тонким голосом: «Кто хлебал в моей чашке и все выхлебал!»

メモ
увидать(←увидал:過去形、男性形):(口)увидеть(完了体)
 →увидеть:見る、見かける、目に留める(完了体)
  →видеть(不完了体)
пустой(←пустую:女性形、対格):(中身が)からの
запищать(←запищал:過去形、男性形):[始発]пищать(完了体)
 →пищать:(ひよこ・豚などが)ぴいぴい鳴く、(口)泣き言をいう、不平を鳴らす(不完了体)
выхлебать(←выхлебал:過去形、男性形):(俗)すすりながら残らず飲む・食べる(完了体)
 →выхлёбывать(不完了体)

 ミーシュチカは自分の空っぽのお皿を見ると、細い声で鳴き始めました。『誰かが僕のスープを飲んで、全部食べちゃったよ!』
 お父さんはвзглянуть/зареветь、お母さんはпосмотреть/зарычать、ミーシュチカはувидать/пищатьと同じ「見る」、「吠える」という動作を別々の単語で言い換えているのが面白いポイント。読み聞かせ会なんかだと人気が出そうな一作。



Михайло Иваныч взглянул на свой стул и зарычал страшным голосом: «Кто сидел на моем стуле и сдвинул его с места!»

メモ
зарычать(←зарычал:過去形、男性形):(俗)[始発]泣く、すすり泣く(完了体)
 →рюмить(完了体)
страшный(←страшным:造格) :怖ろしい、怖い、気味の悪い
сдвинуть(←сдвинул:過去形、男性形):移動させる、動かす、移す(完了体)
 → сдвигать(不完了体)
место(←места:生格):場所

 「ミハイル・イワノヴィッチは自分の椅子を見て、怖ろしい声で泣き始めました。『誰かが俺の椅子に座って、場所を動かしたな!』



Настасья Петровна взглянула на свой стул и зарычала не так громко: «Кто сидел на моем стуле и сдвинул его с места!»

メモ
громко:大きな声で、大声で

 「ナスターシャ・ペドロヴナは自分の椅子を見て、そう大声ではありませんが泣き始めました。『誰かが私の椅子に座って、場所を動かしたわ!』


Мишутка взглянул на свой сломанный стульчик и пропищал: «Кто сидел на моем стуле и сломал его!»

メモ
сломанный:受動形容分詞過去
 →сломать:(曲げて・叩いて)折る、割る、(物を)壊す(完了体)
  ломать(不完了体)
пропищать(←пропищал:過去形、男性形):ぴいぴいいう声を立てる、弱々しい声を立てる(完了体)

 「ミーシュチカは自分の壊れた椅子を見てぴいぴいと泣きました。『誰かが僕の椅子に座って、壊しちゃったよ!』


Медведи пришли в другую горницу. «Кто ложился в мою постель и смял ее!» — заревел Михайло Иваныч страшным голосом. «Кто ложился в мою постель и смял ее!» — зарычала Настасья Петровна не так громко. А Мишенька подставил скамеечку, полез в свою кроватку и запищал тонким голосом: «Кто ложился в мою постель!» И вдруг он увидал девочку и завизжал так, как будто его режут: «Вот она! Держи, держи! Вот она! Вот она! Ай-яяй! Держи!»

メモ
ложиться(←ложился:過去形、複数形):(人・動物が)横たわる、臥せる、寝る(不完了体)
 →лечь(完了体)
постель:寝具、寝床、(寝具を含めた)ベッド
смять(←смял:過去形、男性形): (紙・布地などに)皺をつくる、しわくちゃにする(完了体)
подставить(←подставил:過去形、男性形):下に置く、下から宛がう、寄せかける、近寄せる(完了体)
 → подставлять(不完了体)
скамеечка(←скамеечку:対格):[指小]скамеечка
 →скамеечка:ベンチ
полезть(←полез:過去形、男性形):…の中へ入り込もうとする、…の下へ入り込もうとする(完了体)
завизжать(←завизжал:過去形、男性形):[始発]визжать(完了体)
 →визжать:金切り声を出す、きいきいと音を立てる(不完了体)
как будто:…まるで・あたかも…のように
резать(←режут:現在形、三人称単数形):切る、切断する(不完了体)
держать(←держи:命令形):(捕まえて)逃げない、動かないようにする、押さえている(不完了体)

 「クマたちは別の部屋へと行きました。『誰かが俺のベッドに寝て、しわくちゃにしたぞ!』と、ミハイル・イワノヴィッチは怖ろしい声で吠え始めました。『誰かが私のベッドに寝て、しわくちゃにしたわ!』とナスターシャ・ペトロヴナがそう大声でもなく唸り始めました。ミーシュチカはベンチを下に置き、自分のベッドに入ろうとして、こう細い声でぴいぴい鳴き始めました。『誰かが僕のベッドに寝た!』 そして突然彼は女の子を見、こう金切り声で叫びました、まるで彼が切られたかのように。『ここに彼女が! 捕まえて、捕まえて! ここに彼女が! ここに彼女が! ああ! 捕まえて!』」
 一節が長いよ。
 クマたちはもう一つの部屋へと行きました。『誰かが俺のベッドに寝て、しわくちゃにしたぞ!』と、ミハイル・イワノヴィッチは怖ろしい声で吠え始めました。『誰かが私のベッドに寝て、しわくちゃにしたわ!』と、ナスターシャ・ペドロヴナがそう大声ではありませんが唸りました。ミーシュチカはベンチを下に置き、自分のベッドに入ろうとして、そしてこう細い声でぴいぴい鳴き始めました。『誰かが僕のベッドに寝た!』 そして彼は不意に女の子を見つけ、まるで切り付けられたかのように金切り声で叫び始めました。『ここに彼女が! 捕まえて、捕まえて! ここに彼女が! ここに彼女が! ああ! 捕まえて!』



Он хотел ее укусить. Девочка открыла глаза, увидела медведей и бросилась к окну. Окно было открыто, она выскочила в окно и убежала. И медведи не догнали ее.

メモ
укусить:(犬・蛇などが)咬む(完了体)
открыть(←открыла:過去形、女性形):(戸などを)開ける(完了体)
броситься(←бросилась:過去形、女性形): (闘い・喧嘩などで)突進する(完了体)
 →бросаться(不完了体)
открыто:遮るものもなく、公開で、おおっぴらに
выскочить(←выскочила:過去形、女性形):飛び出す(完了体)
убежать(←убежала:過去形、女性形): 走り去る(完了体)
 →убегать(不完了体)
догнать(←догнали:過去形、複数形):…に追いつく、…に追いすがる(完了体)
 →догонять(不完了体)

 「彼は彼女を咬んでやりたかった。女の子は目を開け、クマたちを見て窓へと突進しました。窓は遮るものもなく、彼女は窓から飛び出し走り去りました。クマたちは彼女に追いつきませんでした」
 ミーシュチカは女の子のことを咬んでやりたいと思いました。彼女は目を開けクマたちを見、それから窓へと突進しました。窓は開いていました。彼女はそこから飛び出し、走り去りました。クマたちは彼女に追いつけませんでした




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