2016年8月23日火曜日

メーデー! : 航空機事故の真実と真相 シーズン7#05「大韓航空007便」




 ヒマさえあればhuluを介してナショナルジオグラフィックチャンネルを見ている私です。
 そんなに好きならもう直接ナショジオに入れよって気もしてきたものの、そうなるとケーブルと繋がっている居間のテレビでしか見られなくなるだろうから、逆に一気に見なくなる可能性が高そうである。
 huluを介しているおかげで、パソコンから見られていますからね。スマホからも見せてくれないかなー、huluちゃん。
 なおAmazonプライムでシリーズ9,11,12が見られます。全シーズンくれ。

 ナショナルジオグラフィックチャンネルを愛する私が最も気に入っている番組は、「メーデー! 航空機事故の真実と真相」。内容はタイトルの通り、基本的には航空機事故を一つ取り上げその顛末と、どうしてその飛行機が悲劇の結末を辿ることになったのかを究明する番組。現在、ナショナルジオグラフィックチャンネルでは昼13時からと夜0時からシーズンごちゃ混ぜで再放送中。


 このシリーズでは大抵の場合、飛行機の乗員乗客がだいぶ死ぬので、時折無事に着陸できる回があると感動してしまうという、もう我ながらよく分からない精神状態になれる。
 そして番組最後には「この飛行機事故により飛行機の安全性は高められました」的なナレーションが入るのだが、その度に「飛行機の安全性を高めるために死ぬのはイヤです」な気持ちになれる。
 が、世の中は得てしてそういうものでして、人間の能力では想定外を完全に殺すことなど出来ず、想定外に出会って初めてその対策を取る必要性を知るのが我らが科学の歴史でございます。万能とは程遠い我らが人間に出来ることは、想定外の惨事が起きた際にはそれに真摯に向き合い、その原因を探り、再発防止に努めることのみ。
 この番組シリーズでは調査に当たる人たちの真摯な態度と共に、時折再発防止案が徹底されずに再度同じ事故が起きた現実をも紹介されており、人間社会の縮図そのものである。
 とは言え、同じくナショナルジオグラフジックチャンネルの「衝撃の瞬間」シリーズと比べると、事故を起こした側への追求は紳士的で、胸糞感は若干控えめとなっている。
 「衝撃の瞬間」が事故の原因追及に主を置いているのに対して、「メーデー!」では技術とは失敗を重ねながらも改善されていくものだと信じているように見える。善人説的な。
 そして私は、この甘っちょろい「メーデー!」の態度が大好きである。



 と前振りが長くなったが、今回紹介したい「メーデー!」シーズン7の第5話は、「大韓航空007便」。
 事故が起きたのは、1983年9月1日のこと。大韓航空のボーイング747はアメリカはニューヨークを出発、その後アラスカのアンカレッジ国際空港で燃料補給を受け、韓国のソウルへと向かう予定であった。

 飛行機の飛ぶ経路は決まっている。件の大韓航空007便が通った経路はアメリカと韓国を結ぶ最も北側の道。ソ連に最接近する注意が必要なものであった。
 太平洋を延々と飛ぶ大韓航空007便は、同じ経路を後から飛ぶ飛行機との交信で時間を潰していた。そこで不可解な事実を知る。すぐ後ろを飛んでいる他機と、どうも風向きが違うのだ。そんなことあり得るはずがない。
 だが東京管制との交信もあり、順調に飛ぶ大韓航空007便には何の危険もないはずだった。大韓航空が高度上昇を願い出、それを東京管制が許可した、その瞬間までは。
 突如通信を絶った大韓航空007便に、東京管制は混乱に陥る。必死に行方を探す管制室が最終的に出した結論は、墜落であった。
 そしてアメリカ空軍が衝撃的な情報をもたらす。彼らは当時その空域のソ連軍の通信を傍受しており、そこに撃墜の会話が録画されていたと言うのだ。

 時代は冷戦真っ最中。ソ連が資本主義陣営の民間機を打ち落としたとのニュースは、世界に衝撃を与える。一方のソ連が情報開示に応じないのだから、疑心暗鬼は深まるばかりである。
 事実を知るために、墜落した大韓航空007便のブラックボックスを求めて、アメリカ・日本が血眼で太平洋を漁るが、また同時にソ連の探索隊も目撃され、事態は緊張の度合いを高めていく。
 結果、大韓航空007便のブラックボックスを手に入れたのは、ソ連であった。そして真実は闇に葬られ、それが開示されるのにはペレストロイカの時代を待たねばならなかった。



 以前にも大韓航空ってソ連に対して領空侵犯して酷い目に遭ってなかったっけ、何でもう一回やっちまうんだよ、とか、ソ連の通信傍受してんのかよアメリカ軍、とか、でもソ連を監視してたのって日本の自衛隊で件の傍受も日本の仕事じゃなかったっけ、なんでアメリカが持ってんだ?、とか、数多の疑問はわくが、そこら辺りはフルスルーするのが「メーデー!」さんです。
 民間機であろうが領空侵犯した飛行機を落としてなにが悪い、くらいの開き直りを見せるイメージのあるソ連なのに、ブラックボックスを保存していた将校は毎日胃が痛い思いをしていたなんて話が披露されるあたりが面白い。
 白眉は実際に撃墜したパイロットに対するインタビューだ。彼に対する目が非難一辺倒ではない辺りも「メーデー!」らしい。


 hulu自体には現時点で「メーデー!」シリーズの配信はないが、ディスカバリーチャンネルの「検証・航空機事故をなくすために」が配信中。
 ドキュメンタリーは気が付いたら消えていることが多いので、近い内に見る予定。
 Amazonプライムではシーズン9,11,12が配信中(でも抜けている話があったりする)だが、他シーズンの配信も期待したいところ。



関連記事:
衝撃の瞬間 番外編#06「ロシア原子力潜水艦の悪夢」


Related Posts:

  • 旧ソ連の怪奇ファイル パート1  秘密のベールに包まれた国、ソ連。鉄のカーテンに隠されていたその秘密が、今明らかになる――的な、「お前らソ連のことどう見てんだよ」と突っ込みたくならないでもない番組が今回の「旧ソ連の怪奇ファイル」。うん、でもソ連って悪役が似合うよね。分かります。   今回もナショナルジオグラ… Read More
  • 旧ソ連の怪奇ファイル パート2  鉄のカーテンが開かれた今、長年秘密にされていたファイルに光が当てられる……。な感じのナレーションで始まるこのシリーズ。  邦題のせいか、なんだかとっても面白くなさそうに見えるが、しかしこれ結構面白いよ。B級な上に取り扱われる話題に統一感が皆無だけれど。  元々が「ザ! 世界仰天ニュー… Read More
  • アニメ『ウサビッチ(シーズン1~3)』 USAVICH Blu-rayの時間 (数量限定商品) posted with カエレバ 富岡聡 ポニーキャニオン 2012-09-19 Amazon 楽天市場 7net  「ずーんずっず、ずーんずっず、ずーんずっず♪」とテンポの良い音で毎回始… Read More
  • ワイルド・ロシア 雄大な自然と動物たち#06「ヘラジカの旅路」  「ワイルド・ロシア」シリーズ最終回。  今回の舞台となるのは、ウラル山脈の周辺。広大な森林に加え、谷には最大級の面積を誇る湿地が広がる。  豊かな自然に育まれ、多様な生物が暮らすこの地の春、短い夏、秋、そして冬が紹介される。冬、静かな森に響く奇妙な音は、寒さに耐えきれなくなった木の幹… Read More
  • 「潜入!ロシアの凶悪受刑者たち」  私が大好き、ナショナルジオグラフィックチャンネルからまた一番組。相変わらずhuluを介して見ているが、最近は無線LAN接続でも切れにくくなってて割と快適。  まぁ画質はお察しなのだが……。  今回の番組は「潜入!ロシアの凶悪受刑者たち」という1回完結のもの。ロシア国外からの取材を初め… Read More

0 コメント:

コメントを投稿