光文社文庫版アナスタシヤ・シリーズ二作目。
ずっと気になっていたラルツェフのその後の記述があって、もうそれだけで私は嬉しい!!
更にアナスタシヤが長年に渡って忠実な恋人だったアレクセイとの結婚をようやっと決めて、驚愕。
ちなみに光文社文庫版の次作三作目の『死とほんのすこしの愛』ではアナスタシヤの結婚式が描かれるらしい。ちょっと予約してくる!
物語はとある家族に掛かってきた脅迫電話で幕を開ける。
幸せなその家族には、一つだけ大きな秘密があった。息子は実子ではなく養子なのだ。そのことを息子にバラされなくなければ金を払え、それが脅迫の内容であった。
だが夫婦は秘密裏に養子を迎えており、その事実を知るものはいないと彼らは言う。ならばどうして脅迫者は知り得たのか?
巨大都市モスクワで起こったこの小さな脅迫事件の予審官に選ばれたのは、オリシャンスキー。
だが夫婦に事件の詳細を聞く内に、彼は同僚が担当する事件の書類を盗まれていたことを知る。盗難に遭った書類は、この脅迫事件を含めて四件。
予審官の部屋から刑事事件の書類を盗むとなると、かなりのリスクだ。だが書類が盗まれた四件の事件は、重大事件とは呼べないものであった。予審官たちが見落とした何か重要な証拠が、その中にあったのだろうか。
単なる脅迫事件のはずだったのに事は次第に複雑な様相を帯び、書類盗難に遭った四件の事件の一つを担当していたアナスタシヤたちもまた巻き込まれて行く。
だがアナスタシヤとオリシャンスキーは、以前の事件のせいで微妙な関係なのであった。
そのアンテナ何だよ、偽科学の臭いしかしないぞ。なんてツッコミが脳の遠くから聞こえてくるが、もうこのシリーズはこういうノリなんだと私は理解しました。ハイ。
今回は実は家族思いなんだよ、な悪人が登場しなくて逆に意外。一応はこのポジションにいるのがリトヴィーノワなのか?
根は善人なんだよポジションはボイツォフだけど。
ちなみに私は子猫ちゃんは死ぬと思ってました。
「男」で記述されるパートが妙に魅力的で、この男が一体誰なのかワクワク読めて楽しかった。
この男に絶妙な小物感と変人感があって、実に良いキャラクターしているのだ。
それにしてもよく狙われるなアナスタシヤ。このテンポでは確実に定年まで生き延びられないぞ、ってレベル。
まぁ主人公は死なないのがルールだし、そもそも定年前に退職しちゃうみたいなのだが。
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